千葉市は8月28日、昨年度実証実験を行った「ちば市民協働レポート」(ちばレポ)の機能アップを図り、9月より本格的にスタートすると発表した。レポーターの募集を8月28日から、レポートの受付を9月16日から開始する。
ちばレポは、道路や公園といった市が管理する施設において、修繕や補修が必要な不具合など、地域におけるさまざまな課題についてスマートフォンアプリを活用し、市民から位置情報および写真付きレポートを送付してもらい、Web上にレポートとして公開するもの。これにより、可視化された地域の課題情報を市民と市役所が共有し、課題解決にあたる。対象は、道路、公園、ごみ、その他の4つの区分だ。
スマートフォンのGPS機能を使うことで、位置情報が自動で取得でき、写真も簡単に撮れる。昨年の実証実験では添付できる写真は1枚のみだったが、場所を特定しずらいということで、本番では3枚まで可能にしたほか、動画での報告も可能にした。
報告された情報は、市側で地図上にアイコンで表示し一般公開する。地図上のアイコンをクリックすることで、詳細情報を参照でき、同じ不具合について複数報告されることを防ぐ。
アイコンは、色分けされ、「新規投稿」→「受付済み」→「対応中」→「対応済み」と更新され、進捗状況がわかるようになっている。対応OSはAndroid OS 2.2以上とiOS 5.1以上。同様の機能はパソコン上でもサポートされる。
千葉市長の熊谷俊人氏は、今回の取り組みの狙いを「これまで電話やFAXなどで連絡していただき対応してきた業務の進捗を明らかにするという行政改革だ」と説明。これまで、このような業務はExcelで管理されていたが、今回のシステムでは、セールスフォースのCRMが利用されている。これにより、事務改善だけでなく、分析も可能になる。
また、電話の場合、市の職員がその都度対応していたが、アプリを利用すればその必要がなく業務の効率化が図られるほか、市民にとっても、休日や深夜でも報告できるというメリットがある。
コスト面でも、例えば、これまで街灯の電球切れは、定期的に市の職員が巡回してチェックしていたが、市民からの報告に頼れば、年間100万円単位のコスト削減になるという。
これまで市民から電話で寄せらる不具合は、道路だけでも年間1万3,000件に上るという。千葉市では、これらを順次スマートフォンアプリ経由に移行してもらう計画だ。
報告された情報は誰でも参照できるが、レポートを行う場合は、事前に市への申請が必要だ。参加資格は千葉市在住、在勤、在学の人だ。市では当面5,000人の登録者を目指す。
また、今後は機能を順次拡張し花見などのスポット情報なども掲載していくほか、市民への一斉通報などにも利用する予定だ。
なお、システム費用は開発費と運用費あわせて、5年間で約5,000万円。
熊谷市長は、「今後は、他の市にも使ってもらい、全国展開を図りたい」と述べた。