Texas Instruments(TI)は8月26日、産業用リアルタイム制御設計向けに最適なシングルコアのC2000 Delfino 32ビットマイコン「F2837xS」を発表した。
同製品群は、4個の16ビットA/Dコンバータ(ADC)を搭載し、各種の電力制御アプリケーション向けに、高精度のフィードバックを実現する。また、最近発表されたC2000 Delfinoマイコン「F2837xD」との間にピン互換性とソフトウェアの互換性を提供することで、より高性能の産業用制御アプリケーションから中間レベルの制御設計へのスケーリングを行う場合の迅速な開発、製品の市場投入期間の短縮と開発コストの削減に役立つ。さらに、Delfinoマイコン「F2837xS」は、既存のDelfinoマイコン「F2833x」を採用中の開発各社向けの、次世代のシングルコアソリューションでもある。このため、「F2833x」以降の投資を活用できる他、ソフトウェアの互換性、より高いCPU性能や、より進歩したアナログと制御用ペリフェラルを提供する「F2837xS」への移行が可能となる。
この他の特徴として、CPU「C28x」とリアルタイム制御アクセラレータ(CLA)の強力な組み合わせにより、総合で400MIPSの浮動小数点性能を提供する他、複数の同時制御タスクを迅速かつ効率的に管理できる。さらに、「C28x」は三角関数や複雑な数値演算を高速化する。そして、「C28x」コアに統合され、コンパイラで自動的に実行される新しいTMU(三角関数演算ユニット)ハードウェアアクセラレータによって、変換関数や制御関数などで使われる三角関数をベースとした各種アルゴリズムを高速で実行できる。また同様に「C28x」コアに統合され、コンパイラで自動的に実行されるVCU II(ビタビ複素演算ユニットII)ハードウェアアクセラレータが、エンコード通信で多用される複雑な数値演算を加速する。この他、システムのインテリジェントな切り分けによって、高性能を要求する制御ループ解析の演算をメインCPU(「C28x」コア)からCLAに移行させ、メインCPUの演算負荷を低減し、追加の帯域幅を発生させることで、システム診断、アプリケーションの管理や、より低い繰り返し周波数の制御ループなどのタスクに集中させることができる。
なお、全機能内蔵のC2000 Delfino32ビットマイコン「F28377S」の「TMX320F28377S」はサンプル供給中。また、TIでは、同世代の「TMS32028376S」、「TMS320F28375S」や「TMS320F28374S」のそれぞれの製品構成で、異なるメモリ容量とペリフェラル群の組み合わせを提供するといった、より多くの派生品種を供給していく予定。なお、価格は1000個受注時で11.34ドルから。さらに、新しいDelfinoマイコン製品の評価が可能なDelfino「F2837xD」実験キットドッキングステーション「TMDXDOCK28377D」が、モジュール型式のcontrolCARD「TMDXCNCD28377D」を付属して、219ドルで供給されている。controlCARD単体では、159ドルで別売りされている。