理化学研究所は野依良治理事長らが8月27日、都内で会見し、「研究不正再発防止をはじめとする高い規範の再生のためのアクションプラン」を発表した。この中で、理研のガバナンスの強化、STAP細胞研究の場となった発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の解体的な出直し、研究不正防止策の強化、改革を着実に実行するための第三者によるアクションプラン実施のモニタリング-の4つの柱を掲げた。
野依理事長は「1月30日付の英科学誌ネイチャーに発表したSTAP細胞論文で研究不正が認定されたことは慙愧(ざんき)に堪えない。このアクションプランはより建設的な『社会のための理研改革』である。自戒を込め、社会の信頼に応えるべく、自ら研究不正防止に最大限努める」と約束した。自身の責任については「理事長としてアクションプランを確実に実施することで、自らの使命をまっとうする」と話し、5人の理事の引責辞任の見通しも否定した。
アクションプランは、まず理研のガバナンスの強化に関連して、過半数が外部有識者からなる経営戦略会議と、理事長直轄の研究コンプライアンス本部を設置し、研究倫理教育の徹底を挙げた。発生・再生科学総合研究センターの出直しに関しては、11月までに規模をほぼ半分にして「多細胞システム形成研究センター(仮称)」として再出発し、既に始まっている世界初の人工多能性幹細胞(iPS細胞)の臨床研究(網膜再生医療)は京都大学iPS細胞研究所と連携して着実に進めることを明らかにした。竹市雅俊センター長の後任の新センター長は、外国人研究者を含む委員会を設置して今年度末をめどに選考する。
また、理研の調査結果が報告された以降にSTAP細胞論文で指摘された科学的な疑義について、外部の有識者による本調査に入ることも明記した。その一方、STAP現象の有無を確認する再現実験を進めることも示した。さらに、論文の信頼性を確保する仕組みや、実験データの記録・管理の点検、保存も決めた。これらのアクションプランは、第三者によるモニタリングで確実に取り組みをチェックすることにした。このアクションプランは、6月の「研究不正再発防止のための改革委員会」(委員長・岸輝雄東京大学名誉教授)の提言を受けて、理研が所内の議論や文部科学省の助言を受けて策定した。
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