理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター(神戸市)でSTAP細胞の検証実験を進めている実験総括責任者の相澤慎一特別顧問と研究実施責任者の丹羽仁史プロジェクトリーダーは8月27日、都内で会見し、検証の中間報告をした。5~7日齢のマウスの脾臓から分離したリンパ球を弱塩酸液に浸して7日間培養する実験を22回繰り返し、一部で細胞塊が見られたが、「論文に報告されたようなSTAP細胞様細胞塊の出現を認めることはできなかった」と説明した。
ただ、実験には熟練した技術が必要な可能性もあり、STAP細胞の発見者とされる小保方晴子研究ユニットリーダーが参加して11月末までに限って進めている検証で、実験のコツなども確認する。また、今回実験したマウスの系統とは異なる別のマウスの系統や、肝臓や心臓などほかの臓器でのSTAP細胞の検証実験は来年3月末まで、引き続き継続する従来の方針を表明した。
全般に、まだ検証の途中段階で、実験の詳しいデータについて、両氏は公表を控えた。相澤慎一特別顧問は「どの条件でも(細胞の多能性を証明する)キメラ形成を調べる段階には至っていない。研究不正や理研の改革とは別の話として検証を進めている。この検証実験の意義を否定する議論は承知しているが、最終的に決着させる道を選んだ」と語った。丹羽仁史プロジェクトリーダーは「まだ白黒がついていないが、手ごわい実験だ」と難しさに言及した。
関連記事 |