8月25日(米国時間)、カリフォルニア州サンフランシスコのMoscone Centerにて米VMwareが主催する年次カンファレンス「VMworld 2014」が開幕した。本稿では初日の基調講演の模様を写真とともに簡単にご紹介しよう。
変化を嫌う住人に反対されたゴールデンゲートブリッジ
VMworldの今年のテーマは「No Limit」。初日の基調講演の冒頭に登壇した米VMware Chief Marketing OfficerのRobin Matlock氏は、この言葉に込めた想いについて、ゴールデンゲートブリッジ建設当時のエピソードを交えながら紹介した。
今や、サンフランシスコの名物となったゴールデンゲートブリッジも、計画時には予算超過や景観悪化などの懸念が強く、着工までに10年を要したという。しかし、橋の重要性を粘り強く説いた建築家ジョゼフ・シュトラウスの努力により建設がスタート。予算を当初の範囲内に収めたうえで4年で完成に至り、景観面でも賞賛を浴びる建造物となった。
こうした話しを引き合いに出し、「ITの世界においても次々と変化が巻き起こるが、それを障壁と考えずにチャンスと捉え、Limit(限界)を打ち破る姿勢を示していかなくてはならない」と来場した技術者に呼びかけた。
恐れずに前進を
Matlock氏の後を継ぐかたちで登壇した同社CEOのPat Gelsinger氏は、現在のビジネスを取り巻く環境について「Liquid(流動的)」と表現。「従来のRigid(硬直した)な構造とは対局にある」とし、「Liquidなビジネスに対応するためにはBrave(勇気)を伴ったコミットメントが必要」と説いた。
では、勇気を伴ったコミットメントとは、具体的にどういったケースを想定しているのか。
Gelsinger氏はまず、以下のようなスライドで現状を分析。
ここに挙げられた項目は一般に対立軸として認識されており、システム管理者はどちらをとるかで頭を悩ませているが、Gelsinger氏は、本来は両立させることが望ましいことを説明。VMwareの技術でSDDC(Software Defined Data Center)を実現すれば、それぞれの長所を生かせる環境を手に入れられることを強調した。
「&」を実現する最新技術
続けてGelsinger氏は、上記の4つの対立軸を「&」に変えるための取り組みを具体的に紹介した。
最初に挙げたのが仮想化環境の強化。Gelsinger氏は、VMware vCloud Suite 5.8をリリースし、新たにVMware vRealize Suiteの提供を開始したことを発表。さらに、vSphere 6.0、Virutual Volumes、Virtual SAN 2.0がそれぞれBeta版の段階にあることを明かした。
また、導入作業をさらに簡略化するべく、VMware製品を組み込んだ垂直統合型システムをハードウェアベンダー各社とともに提供することをアナウンス。Evolutionからとった「EVO」というブランド名の下に、「EVO : Rail」と「EVO : Rack」の2つのラインナップを用意し、EVO : Railの提供開始と、EVO : Rackがテクノロジープレビュー版にあることを発表した。