2014年9月10日、セミナー『「顧客と密接な関係」が作れるか!!企業価値を創出するCRM戦略とは』がベルサール新宿グランド Room Mで開催される。当日は、日本アイ・ビー・エム アドバンスト・テクノロジー・センター システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 石井 旬氏が登壇し、「CRMや基幹業務のデータで受注率を伸ばす、ビッグデータ活用事例」と題するセッションを行う予定だ。そこで講演に先立って、社内にある身近なデータを活用して受注率を向上させるビッグデータの手法について、成功事例を踏まえた話を同氏に聞いた。

「顧客と密接な関係」が作れるか!!企業価値を創出するCRM戦略とは」の参加申し込みはこちら(参加費無料、9月10日(水)開催、東京都新宿区、開場13:30~)

CRM、基幹システム - 身近なデータこそ“即戦力”のビッグデータ!

日本アイ・ビー・エム株式会社 アドバンスト・テクノロジー・センター システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 石井 旬氏

ビッグデータと言えば、Webログ解析やM2M、ソーシャルメディア分析といったアプローチがまず思い浮かぶのではないだろうか。しかし、そうした新しい分野のデータではなく、企業が既に所有しているデータを活用し、よりダイレクトにビジネス向上に役立つアプローチがあるのをご存知だろうか。そのデータとは、CRMシステムや基幹業務システムに大量に蓄積されている、身近かつ大量のデータである。

「そんな“今ある”データから価値を引き出して、業績向上にダイレクトに役立てるような事例が、実は海外のみならず日本企業の間でも最近かなり出てきているのです」と石井氏は言う。

その代表的な例として同氏が挙げたのが、ある機械要素部品メーカーでの、ビッグデータを活用した受注率アップの仕組みである「受注レシピ」の事例である。

従来、同社ではコンタクトセンターで見積り業務を行っていたが、電話やFAXでの大量の受注処理に追われて多忙を極めていた。それと同時に、過去の販売実績を活用してニーズに応じた適切な提案を積極的に行うことで販売機会を増やしたいという要望や、豊富な経験を有する社員のナレッジを生かして販売力強化を狙いたいといった要望もあった。

そこで注目したのが、既に導入していたコンタクトセンターで活用しているSugarCRMや販売、生産などの基幹システムのデータだった。これらのデータを有効活用することでビジネスを更に伸ばすことができると考えた同社は、社内外にあるビッグデータを集めて受注率を高めるための7つの「受注レシピ」を編み出したのだった。

受注レシピを3つばかり例に挙げると以下のようなものだ。 1 過去の受注内容からデータ検索を行い似た見積りを見つけ出す「類似見積りの発見」 2 受注に至った出荷データを確認する「過去の出荷状況確認」 3 繰り返し注文がきて売上に貢献している商品を発見する「『流れ品』の発見」

こうして見積り一件に対してダッシュボード上に受注レシピを示すようにした結果、コンタクトセンターではオペレーターが最適な対応を迅速に行えるようになった。例えば類似見積りの発見により、似通った受注につながった過去の見積り書をクリックするだけで新たな有効確度の高い見積り書が瞬時に作れるようになっているのだ。

この「受注レシピ」を支えているのが、「SugarCRM」とBIツール「IBM Cognos」、インメモリDBの「IBM DB2 BLU」に、高速で堅牢なビッグデータ処理を可能にするインフラとして「IBM Power Systems」を組み合わせたデータ分析基盤だ。

「このビッグデータ活用モデルは多くの企業が生かせるものなので、私のセッションではその詳細や利用しているテクノロジーの概要など、参考になるエッセンスを、ぜひ皆さんにお届けしたいと考えています」と石井氏はセミナーへの意気込みを示している。

ビッグデータ活用というと、まだまだ雲をつかむようなイメージで、具体的な成果は二の次と考えている方も多いのではないか。そうした中、受注率アップという企業にとって何よりも大事な具体的成果を示しているこのアプローチへの期待は大きいことだろう。まさに“いま”分析力を武器とする企業となるために、ぜひ石井氏のセッションに耳を傾けていただきたい。