米Amazon.comは8月25日(現地時間)、ゲームプレイ動画のストリーミング配信サービス「Twitch」を提供しているTwitch Interactiveの買収で同社と合意したことを発表した。AmazonはTwitchの発行済み株式を約9億7000万ドルの現金で取得。買収手続きは年内に完了する見通しだ。急成長するTwitchに関して、今年の春にGoogle傘下のYouTubeが10億ドルで買収すると報じられたものの正式発表には至らず、その後Yahoo!が関心を示しているといった噂が広まっていたが、Amazonの名前はこれまで挙がっていなかった。

Twitchが始まったのは2011年6月。ゲームプレイを公開したり、視聴するのはよっぽどのゲーム好きに限られると、当時はニッチ狙いのサービスと見なされた。そうした見方に反して、Twitchは瞬く間にユーザー数を増やし、配信本数と視聴時間が共に急伸。ゲームプレイ動画が魅力的なオンライン共有コンテンツであることを証明した。7月のユニーク視聴者数は5500万人以上。100万人以上のメンバーが配信した150億分以上のコンテンツが視聴された。

Twitchは急成長するサービスをグローバル規模で支えられるインフラを必要としており、またユーザーがプレイしている様子を配信したゲームに使われている音楽などの著作権問題にも直面していた。YouTubeはそうした課題を解決できる理想的な組み合わせと見られた。一方Amazonはインフラを提供できるものの、ユーザーが公開するコンテンツの著作権問題を解決する力は未知数だ。TwitchのCEOであるEmmett Shear氏は、Amazonを選んだ理由について「われわれのコミュニティを尊重し、Twitchの価値と長期的なビジョンを共有した上で、その目標により早く到達するための支援を申し出てくれたから、われわれはAmazonを選んだ。オフィス、従業員、ブランド、そして最も大事な独立性も、ほぼ全てがこれまでと同じまま。Amazonのサポートによって、より素晴らしいTwitchを提供するためのリソースを得ることになる」とコメント。AmazonのJeff Bezos氏(CEO)は「Twitchと同じように、われわれも常に顧客のことを考え、新たな発想を好む。Twitchから受ける刺激、そしてゲーミングコミュニティのための新サービスを彼らが構築する作業が加速するように支援するのを楽しみにしている」と述べた。