「気になるアレを大調査」をキャッチコピーとし、調査データや取材をもとにコンテンツを提供するニュースサイト「しらべぇ」は、創刊から1カ月で145万PVを突破し、ユニークユーザー(UU)数も78万人を記録した。

昨今、ニュースアプリやニュースキュレーションサービスなど、インターネット領域におけるニュース市場は広がりを見せ、話題の動画や画像などを紹介する「バイラルメディア」も国内外で人気を集めているが、「しらべぇ」は読者に何を提供し、どんなメディアを目指すのだろうか。

(左)NEWSYで代表取締役CCOのタカハシマコト氏と、(右)代表取締役CEOを務める植岡耕一氏

「しらべぇ」Webサイトイメージ

同Webサイトを運営するNEWSYは、博報堂DYグループと大広、読売広告社が実施する社内公募型ビジネスアイデア募集・育成プログラム「AD+VENTURE(アドプラスベンチャー)」より生まれた社内ベンチャー。5月に博報堂DYグループとインターネットマーケティングリサーチを行うゲインによって共同設立された。

同プログラムに「しらべぇ」の企画を持ち込んだのは、NEWSYで代表取締役CEOを務める植岡耕一氏と代表取締役CCOのタカハシマコト氏。2人は2011年から媒体の構想を練り、2013年秋から同Webサイトの事業計画を立てていたという。

植岡氏は、博報堂入社後、営業職として従事。2010年、インターネット企業を担当していた時にタカハシ氏と出会った。クライアントのキャンペーンの一環でメディアの運営・編集を経験し、「それが楽しそうだったので、じゃあ2人でやろうよ」(タカハシ氏)と今に至った経緯を振り返った。

読めばドヤ顔が出来る、そんなメディアに

しらべぇは、「気になるアレを大調査」をキャッチコピーに、ニュース報道に対する世の中の反応や、身の回りのなにげない話題などを「調査データやランキング」付きで記事化・配信するニュースメディア。ネット調査のほか、記者による体験取材やコラムニスト陣による連載、ビッグデータ解析や海外特派員からの調査などを基に、「一次情報」としてのニュース記事を制作する。

同Webサイトを立ち上げた当時は、1年後の目標PV数を100万としていたという。その理由を彼らは、「コンセプトとして『調査や数字に基づいた情報として提供すること』を掲げていて、掲載本数も1日に5本。『読み物』として読んでもらえるように、記事1本あたり1000字前後で編集している」とし、「PV数という面では、緩やかな推移で伸びていくと見込んでいた」と説明した。

ところが、6月16日の創刊から30日間で145万PV・UU数78万人を突破し、目標を大幅に上回る結果となった。2人は初月を振り返り、このような結果となった要因を「公式Facebookページのいいね!増加(6月時点での6800いいね!超え)と、GunosyやSmartNewsなどのキュレーションメディアの存在が大きい」と述べた。

しらべぇの公式Facebookページのイメージ

SmartNewsに取り上げられた記事の様子

「キュレーションアプリやメディアの台頭によって、自社メディア自体の知名度やファンが少なくても、流入を得る機会ができた。この訪問者にいかに回遊してもらうか。これが今後の課題の1つだろう。」(タカハシ氏)

彼らが自らを第二報を扱うパブリッシャーとし「調査や数値」にこだわる理由は、「あくまでも、裏付けのある情報を提供する『ニュースメディア』を目指しているから」(植岡氏)だという。「報道する速さでは、テレビのニュース番組などの第一報には敵わない。一方で、取材や調査によって情報を生み出すことは可能。『しらべぇを見れば、何かためになる』そんなメディアであることを目標に、記事の制作・編集を行っている」とし、「理想は、読者が『ねえ、知ってる?』とドヤ顔で会話ができるような情報を提供することですね」とタカハシ氏は語った。

目標とするメディアのかたちを実現するために

6月時点、しらべぇの運営を支えるのは、同社の事業の1つとなるCMの制作ディレクション。今後は、広告枠の提供など広告展開も行う予定で、「親会社が博報堂だからこそ、広告とコンテンツの境目を明確にする必要性を強く感じている」とし、読者によるメディアへの信頼性を重要視していく方針だ。

また、既に記事の配信先として提携を行っているエキサイトニュースやmixiニュース、NEWSポストセブン、livedoorニュースなどにくわえ、今後も配信先を増やしていくほか、1日あたりの配信記事の増加や連載コラムニスト陣の拡充も図る。

これにともない、同社は7月16日、調査してほしいネタを投稿するといった形で記事制作に参加する「しらべぇレポーターズ」の公募を開始。募集は、Wantedly内にて行われており、採用後は、しらべぇ内のレポーターズコーナーにて紹介されるという。

次のステージとして「しらべぇ」は1年後、月間1000万PV、UU数300万人を目指す。走りだしたばかりのメディアが、どのように変わっていくのか、今後の活動に期待する。