カネカは8月21日、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、カネカが製造販売する天然界面活性剤「サーファクチン」を微量混合することによる相乗効果で、台所洗剤やシャンプーなどの日用品から建築・土木分野に至るまで幅広い領域で各種洗浄剤などに使用される合成界面活性剤の使用量を1/100 に減らしても同等以上の表面張力低下効果を維持できることを実証したと発表した。

同成果の詳細は9月9日~11日にかけて札幌にて開催される「日本油化学会第53回年会」にて発表される予定。

サーファクチンは、微生物が発酵生産する天然界面活性剤の一種で、その分子形状は従来の界面活性剤とは異なるはアミノ酸がリング状に連なった環状ペプチドであり、合成界面活性剤に比べ、分子1個のサイズが3~5倍程度大きく、かつ水の表面に並びやすいという特徴を有している。今回の研究では、サーファクチンと合成界面活性剤を併用した場合、水の表面がサーファクチンで優先的に覆われて飽和されるため、量が少ない状態でもミセル形成が促進されて合成界面活性剤の機能発揮につながったと研究チームでは説明している。

この効果を活用すると、国内だけでも年間約100万トンほど生産されている石油製品の代表格の1つである合成界面活性剤の消費量を削減することが可能になり、資源の有効活用や環境影響の軽減につながる可能性があると同社では説明している。

カネカ・サーファクチン(SF)による合成界面活性剤の使用量低減効果。LASは構成界面活性剤の一種である「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム」を示す

なお、同社が製造している「カネカ・サーファクチン」は、同社独自の発酵技術で得られる天然物で、少量の使用で高い乳化安定性や分散性を示すとともに、皮膚への刺激性が低く、生分解性にも優れていることから、同社では、すでに化粧品用途などで展開しているが今後は、洗剤分野をはじめとした合成界面活性剤の使用量低減・機能強化への貢献に向けた事業展開も進めていくとしている。

サーファクチンと一般的な合成界面活性剤の分子構造の比較