氷の入った水を頭から被る「Ice Bucket Challenge」と言われるチャリティが世界中で広まっている。これは、バケツ一杯の氷入りの水を頭から被ることで、難病とされる筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)に関する理解を高め、ALSに関する非営利団体「ALS Association」への寄付を行う慈善活動だ。
有名人がバケツの水を被る姿はもちろん、被り方も三者三様で面白い。チャリティではあるが、ちょっとしたエンターテイメントにもなっている。
まずは、Ice Bucket Challengeが認知啓蒙を図るALSとはどんなものかを整理しておこう。ALSは大脳の運動神経が正常に機能しなくなるという神経変性疾患だ。発症から3年~5年で死亡することが多く、効果的な治療法は確立されていない(詳しくはWikipediaや難病情報センターを参考にされたい)。
ALSに苦しんだ人の1人に、メジャーリーグのルー・ゲーリッグ(Lou Gehrig)選手がおり、英語圏では「Lou Gehrig's Disease」と言われることもある。著名な物理・科学者であるスティーブン・ホーキング(Stephen William Hawking)氏もALSを患っていたが、病気の進行が弱まったため現在も活動している。
そして、今回のチャリティ活動は、バケツの水をかぶる動画を投稿することでALSに対する理解を広めるものだ。「#IceBucketChallenge」というハッシュタグと共にソーシャルメディア上で拡散しており、ここ数週間はハイテク業界の幹部やセレブが次々と水をかぶっている。
Ice Bucket Challengeにはルールがある。水を被った人から指名されたら24時間以内にバケツに入った水を頭から被るか、もしくは、100ドルを寄付しなければならないのだ(もちろん、水を被りつつ寄付したってOKだ)。その後、次の人を3人ばかり指名する。
ALS Associationは8月16日、Ice Bucket Challengeを通じた寄付額が1,000万ドルに達したと発表、3日後の19日には約2.3倍の2,290万ドルに達したことを報告している。
また、Facebookが18日に公開したデータによると、Facebook上でのIce Bucket Challengeに関する投稿は6月1日~8月17日の2ヶ月半の間、2,800万件以上に上ったという。Ice Bucket Challengeが関連した動画の共有は240万件だ。Ice Bucket Challengeを広めるきっかけとなったPete Frates氏の居住地であるマサチューセッツ州から広まっていったようだ。なお、Frates氏は大学時代野球選手で2012年にALSと診断された。
参加者を国別で見ると、米国、オーストラリア、ニュージーランドが上位3ヵ国で、これにカナダ、メキシコ、ブラジル、ドイツ、フィリピン、プエルトリコ、インドと続いている。
Ice Bucket Challengeは有名人の"つながり"という観点から見ても興味深い。例えば、Facebook創業者のMark Zuckerberg氏はMicrosoftの共同創業者Bill Gates氏、FacebookのCOOであるSherly Sandberg氏、NetflixのCEO、Reed Hastings氏を指名した。
Zuckerberg氏に指名されて水をかぶったBill Gates氏は、TeslaとSpaceXのCEO、Elon Musk氏やTEDのキュレーターのChris Anderson氏、TV司会者のRyan Seacrest氏を指名した。Musk氏は子ども5人がそれぞれ5つのバケツに繋がった紐をひくというくす玉式(?)を考案し、話題になった。
Ice Bucket Challengeに挑戦しているMark Zuckerberg氏。FacebookでBill Gates氏を指名している |
Ice Bucket Challengeに挑戦しているBill Gates氏 |
このほかLady GaGa、Oprah Winfrey、Steven Spielbergなどのセレブ、Cristiano Ronaldoといったスポーツ選手もが参加している。Barack Obama大統領も何度か指名されているが、これまでのところ実現していない。Justin Bieberが大統領を指名したことから、今度こそ大統領が頭から水をかぶる姿が見ることができるかもしれない。
日本人の挑戦者には、堀江貴文氏、ソフトバンク代表の孫正義氏、Jリーグの村井満チェアマンなどがおり、動画が公開されている。
さて、このIce Bucket Challengeだが、有名ではない人も参加できる。もしかして、明日はあなたが指名されるかもしれない。