東京大学地震研究所は8月17日、2013年11月の噴火以来、拡大を続ける西之島について、今後、噴火に伴い、新島の一部が崩壊して、津波が発生する可能性があると発表した。
同研究所によると、西之島の噴火活動で新たに形成された部分の大きさは、東西1.55km 南北1.2km,面積は約1.2平方キロメートルだという。 6月以降続いていた東側への拡大は7月下旬までに停止したが、溶岩供給は継続し、7月下旬から北東部で溶岩が流出が始まり、いったん減少した面積拡大率は再び増加に転じている。
8月13日に撮影された TerraSAR-X 衛星画像 (協力:パスコ) によると、北側の火口群が合体して大火口を形成するとともに、火口内に直径50mほどの溶岩ドームと見られる高まりが形成されていることが明らかになった。噴出量は約5000万立方メートル、噴出率は5月中旬以降変動しているが、1日当たり10万立方メートルを超える水準を維持しており, 活動は依然として活発だという。
西之島の新たに形成された部分の輪郭変化。TerraSAR-Xによる衛星画像 (協力: パスコ) をもとに作成。海底地形は海上保安庁水路部(1993) の海底地形図をもとに作成。 資料:東京大学地震研究所 |
また同研究所は、今後、溶岩流が急斜面上に供給され続けた場合,新島の一部が小規模な崩壊を起こす可能性があると考えられると指摘している。さらに、崩壊が起これば,崩壊物は海底火山体の斜面を重力流として流下し、津波が副次的に発生する可能性もあるという。
同研究所は、新島の崩落によって発生する津波について、波源近傍では最大10mに達するが概ね数m以下、西側と南東側でやや高くなるが、西之島から離れると急激に減衰し、 父島では最大50cm、父島列島北端部付近では80cm程度と予測している。