米GoogleがKDDIらと進めている日本・米国間海底ケーブル敷設プロジェクト「FASTER」は日米間を結ぶ高速ネットワークとして期待されているが、サメ対策という課題が持ち上がっているようだ。
FASTERはGoogle、KDDI、中国移動、中国電信、Singtel、Global Transitの6社が進めるプロジェクトで、日本と米国の間の太平洋の海底に光ファイバー網を敷設するもの。総延長約9,000km、最新の光ファイバー技術、高密度波長分割多重方式(DWDM)技術などを利用することで最高伝送速度は100Gpbsを実現する見込み。
これにより、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末の普及、高速通信を実現する無線規格LTEの普及などが要因となっているネットワークトラフィックの需要増に対応することを目指している。
KDDIによると、太平洋横断ケーブルのTPC-1は50年を迎えており、海底ケーブルは日本の国外へのトラフィックの99%を収容するなど重要度が高まっているという。FASTERの建設費は約3億ドル、NECがシステム供給契約を獲得している。
FASTERは2016年第1四半期の開通を目指して作業を進めているところだが、ここで、作業を妨害しそうなのがサメだ。Googleのクラウド担当プロダクトマネージャ、Dan Belcher氏は先に米ボストンで開始した自社イベントGoogle Cloud Roadshowで、サメの攻撃から保護するために海中の光ファイバーケーブルをケブラーのような素材でラッピングしていることを明かしたという。
Belcher氏の基調講演を最初に報じたのはNetwork Worldで、報道によるとBelcher氏はインフラ保護の対策の一例として紹介したようだ。
なぜ、サメがケーブルを襲うのか――Network Worldによると、1989年にNew York Timesが当時最新技術だった光ファイバーに「サメが不可解な好み」を示していると報じているという(この光ファイバーは米国と欧州を結ぶものとして大西洋に敷設中だった)。また同誌は、ファイバーケーブルが発生する電場を魚と間違えるのではないか、という説を紹介している。
光ファイバーはガラス繊維でできており、ケーブル外装にはポリウレタンなどの素材が使われている。ケブラーはDuPontの商標登録技術であり、電気を通さないほか、同じ重量の鉄鋼の約5倍という強度、耐熱性、耐切創性などに優れる。なお、現時点ではGoogle、NECともにFASTERでのケブラー素材の利用を公式に認めていない。