新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8月15日、パワーエレクトニクス分野における日本の技術的優位性の確保と適用拡大を目指し、新たなテーマを開始すると発表した。

同プロジェクトでは、SiCパワーデバイスを活用した応用システム開発を行う3つのテーマの助成事業と、現状のSiCパワーデバイスと同等以上の性能を有する新世代Siパワーデバイスを開発する1件の委託事業に取り組む。

助成事業のテーマのうち、「世界のパワエレを牽引する次世代パワーモジュール研究開発と日本型エコシステムの構築」では、助成先に富士電機を予定しており、顧客カスタム要求を満たしつつ、超短納期で低コストな次世代パワーモジュールを開発すると同時に、それを実現するエコシステムを構築し、EV(電気自動車)分野、新エネルギー分野などで世界を牽引することを目指す。また、「SiCパワーデバイスを用いた超高効率車載電動システムの開発」では、助成先にデンソーを予定しており、SiCパワーデバイスを用いたインバータを活用した昇圧コンバータ不要のPCU(Power Control Unit)を開発することで、車載電動システムの革新的な効率向上を図ることを目標としている。そして、「高出力密度・高耐圧SiCパワーモジュールの開発」では、助成先に三菱電機、三菱マテリアル、電気化学工業、日本ファインセラミックス、DOWAエレクトロニクスを予定しており、世界最高レベルの高出力密度・高耐圧SiCパワーモジュールを開発し、鉄道車両の電力変換器の小型、軽量化を図っていくという。

委託事業の「新世代Si-IGBTと応用基本技術の研究開発」では、委託先に東京大学を予定しており、材料技術、プロセス技術などを駆使することにより、現状のSiCパワーデバイスと耐圧、電流密度などで同等以上の性能を有するSi-IGBTおよびその周辺技術を開発し、新世代のSi-IGBT技術を確立するとしている。