デザインテンプレートをカスタマイズしていく手順で、誰でも簡単に洗練された凝ったホームページが作成できることが魅力のデジタルステージのWeb制作ソフト「BiND for WebLiFE」。今年3月に最新版にバージョンアップしたばかりだが、このほとんどの機能をクラウドで提供するサービスが登場した。

クラウド型のアプリケーションサービスが昨今のトレンドとはいうものの、高度なWeb制作の機能をオンラインで無料で提供してしまうという思いきったサービスの方向転換に驚かないユーザーは少なくないだろう。もちろん、筆者もそのひとりだ。

インストール版とクラウド版の違い

それではまず、インストール版とクラウド版の違いを比較。ハードディスクにソフトをインストールする必要がないので、問われる環境はOSとブラウザのみ。Windows7以降のウィンドウズ、OS X Lion v10.7.5以降のマッキントッシュが動作する環境で、ブラウザはSafari 6.1.2以上、Internet Explorer 9以降、最新版のChromeとFireFoxで動作する。それ以外はプラグインとして最新版のFlash Playerが必要なだけだ。従来のインストール形式の場合、プログラムのほかにテンプレートデータもインストールする必要があり、それなりのハードディスク容量が求められたが、すべてWeb上にあるデータとやり取りするため、クラウド版ではそれが求められないだけでもメリットが大きい。

「BiND Cloud」のテンプレート選択ページ。インストール版同様、モバイルページやFacebookページ、オンラインショップ、WordPress向けテンプレートも網羅する(左)、一般ページ向けテンプレートの選択ページ(右)

また、クラウド版では必要な機能やサービス内容を選ぶことができ、それに応じて課金されることになる。つまり、ユーザーは自分自身が欲する機能やサービスのみをオンデマンドで利用することができるので、余計な機能のためにハードディスクの容量を占有することも、必要な機能に応じて料金を払えばいいだけなので、より納得してフレキシブルにサービスを利用できるのもうれしい。

インストール版同様、編集モードは“スマートモード”と“エディタモード”が用意されている

コースと価格

コースは3パターンで、“エントリーコース”なら、初年度は無料で、2年目以降が月額480円。インストール版のような1回で買い取る形式とは根本的に支払いの仕組みが変わるが、年間に換算すると5,760円。これまでインストール版がおよそ年1回のペースでバージョンアップが行われてきたことを思うと、月額料金さえ払えば年1回とは言わず常に最新の機能を使えるのは結構思い切ったサービス体系に思える。

コースはほかにも月額9,800円の“ビジネスコース”、月額2,980円(年契約2万9760円)の“プロコース”が今夏中に開始される予定だ。それぞれライセンス数や独自ドメイン対応数、公開容量、書体数などに違いがある。独自ドメインの利用が不可能で同社のサーバ上にしか公開できないなど機能が限定的で広告表示のある“エントリーコース”は個人サイト向けだが、“プロコース”と“ビジネスコース”なら独自ドメインにも対応し、さらにBiNDでPCサイトを作る要領でWordPressテーマやFacebookページの作成ができ、それぞれ5GB、40GBまでのホームページ公開容量が用意され、実質的にインストール版と同様な機能が使える。また、従来のインストール版でもデジタルステージのサーバー機能を使う場合は、月々の利用料が別途必要だったことを思うと、それらも含んだ形の月額料金とすれば使い続ける期間にもよるものの、妥当な金額と言えるだろう。

BiND7(左)とBiND Cloud(右)の編集画面。BiND7とほぼ同じUIをブラウザ上で再現しているため、インストール版を使い慣れたユーザーもストレスない操作性でWebが編集できる

一方、ホームページ制作のための機能自体はどのコースもフォント数以外に大きな違いはない。エントリーコースでも、BiND7に搭載された、画像作成機能「SiGN Pro」やjQueryベースのスライドショーが作れる「SHiFT2」、ショッピングカート機能が利用できる。ブラウザーベースだが、インターフェースや使い勝手はインストール版とほとんど同じで、従来からのユーザーなら迷うことなくすぐに使えるはずだ。また、丸明ファミリーや筑紫ファミリーなど、最大316書体の日本語Webフォントを利用可能なほか、同社の素材ダウンロードサービス「materials」とも連携しており、毎月各コースに応じたポイントも付与されるため、定額内でゲッティ イメージズなどの素材も利用できる。

画像作成機能「SiGN Pro」のテンプレートの選択画面と編集画面

動的なスライドショーを作成できる「SHiFT2」

ほか、クラウド化されたことにより、プログラムやデータをハードディスクに保存する必要がなくなり、データは常にオンライン上に保存されることになる。つまり、常に最新状態のBiNDが使え、インターネットと対応するOS環境さえ満たしていれば、どのパソコンからでもホームページの更新ができるというのも大いなるメリットだ。さらに、ビジネスコースなら、ライセンス数は20ユーザーまで。オンライン上にあるホームページデータを複数の関係者で共有して、ホームページの構築や更新を共同で作業することができるのだ。

ページ構成のサイトマップの表示/非表示の切り替えもでき、各ページの編集の移動もスムーズ

レイアウトパターンもブラウザ上のマウス操作だけで一発で変更が可能

そのほか、プロパティの設定等もほぼほぼオリジナルに忠実に再現されている

ちなみに、プロコース、ビジネスコースの場合は、BiND5~BiND7のインストール版で作成したサイトデータのみ取り込みは可能。しかし、クラウド版からインストール版への移行には対応しておらず、再編集することができない。ただし、プロコース、ビジネスコースの場合は、FTP機能に対応しており、サイトデータをダウンロードすることは可能だ。そのため、ダウンロードしたデータを他のFTPソフトで他サーバーに公開したり、自分でHTML編集することはできる。

常に最新のWeb技術のトレンドを押さえた機能を提供し続けてきたデジタルステージのBiND。Webの最新技術はもちろん、サービス自体の業界のトレンドも加味して今後もより柔軟で使い勝手のいい仕様にバージョンアップしていくことが期待される。また、クラウドならではの醍醐味を最大限に有効活用するためには、フル機能とは言わずともタブレットやスマートフォンでの簡単な更新作業が可能になれば、さらに魅力的なサービスとなりそうだ。