兵庫県丹波市山南町の篠山川河床に露出する篠山層群から2006年に発見された竜脚類(通称「丹波竜」)の化石は、既知のどの属や種のものとも異なる新属新種の恐竜であることを、兵庫県立人と自然の博物館(兵庫県三田市)の三枝春生(さえぐさ はるお)主任研究員と池田忠広研究員が確かめた。化石発見後の発掘調査で収集された頭や尾の骨の化石を詳しく比較、検討して突き止めた。恐竜の進化や当時の生態系を研究するのに役立つ成果といえる。8月12日にニュージーランド分類学専門誌Zootaxaオンライン版に発表した。
丹波竜の学名は「タンバティタニス・アミキティアエ」と名づけた。ラテン語で「丹波の女の巨人・友情」という意味をこめた。三枝春生さんは「この化石の最初の発見者である村上茂さんと足立洌(きよし)さん=いずれも丹波市在住=の絆が生んだ大発見」とたたえ、「友情」とした種名の由来を説明した。
この化石は2006年に初めて、篠山層群の下部層で見つかり、同博物館が毎年冬に6回、発掘調査を重ね、多数の標本を収集して分析していた。前期白亜紀(1億4500万~1億年前)の竜脚類の植物食恐竜で、全長が推定約15mと大型だが、頭は数十cmと小さい。当初から新種とみられ、丹波竜の愛称で親しまれていた。三枝春生さんらが、その後見つかった同じ個体と見られる化石のうち、約60個の化石の形を調べ、頭骨の突起や尾の骨の形が、ほかの竜脚類と明確に違うことを見いだした。
三枝春生さんは「頭と体の骨の化石がよくそろっていたので、はっきり新属新種と記載できた。これほど化石がそろっている前期白亜紀の竜脚類は世界的に少なく、東アジアでの竜脚類の進化を探るのに重要な手がかりになる。同じ篠山層群では、3カ所の化石産地があり、カエルやトカゲ、別の恐竜の化石も見つかっており、今後、新種と記載される可能性が大きい。丹波竜も含め、引き続き調査研究を続けたい」と話している。
同博物館は丹波竜の新属新種の記載を記念して、8月20日から10月19日まで、同博物館で化石の臨時展示をする。