京都大学学術情報メディアセンターはこのほど、研究プロジェクトにおいて京都市内の商業施設で告知せずに映像を撮影していた件について、「配慮が欠けていた」と謝罪を発表した。

同センターのデジタルコンテンツ研究部門マルチメディア情報研究分野は、文部科学省の補助事業として実施しているプロジェクト「環境適応型で実用的な人物照合システム」の一環として、平成22年度から京都市内の商業施設に施設運営者の許可を得てカメラを設置して撮影を行い、人物画像を解析する実証実験を行っている。

同プロジェクトの目標は、さまざまな環境で撮影された人物の静止画像や映像(数秒程度)を検索キーとして、既存の顔画像データベースを高速に検索する顔画像検索システムを構築すること。

環境適応型で実用的な人物照合システムの概要

同実験を実施するにあたり、カメラを設置する施設の出入り口などの見やすい場所にプロジェクトの概要やセンサーの種類を表示することを定めたが、今年3月末、対象の商業施設で3年半の間、この表示がなされていなかったことが判明した。

この件が判明した後、施設運営者と協議のうえ、今年4月に対象の商業施設の掲示板にプライバシポリシーに基づく撮影の表示を行ったという。表示がなされていなかった期間に撮影した映像は、保管庫に施錠のうえ厳重に隔離しており、適切な時期に完全に消去する予定。

映像の一部は研究成果の発表時に公開されたが、その際は個人が特定できないよう画像処理を施す措置が取られていたほか、他目的への流用やプロジェクト構成員以外の第三者への提供などが行われていないことも確認しているという。