米Appleは8月12日、職場の人種や性別などの多様性(ダイバーシティ)をまとめた「Diversity Report」を発表した。これは、先に同様の発表を行ったGoogleやFacebookに続くものだが、やはり白人男性が多くを占めている現状が明らかになった。AppleのCEOを務めるTim Cook氏は「満足していない」と改善に取り組む熱意を見せている。
今回、2014年6月~8月の約9万8,000人の従業員の人種、性別が公開された。それぞれ、全体に加え、技術系、非技術系、管理職の3つの分類ごとに比率を公開している。
人種のデータは米国社員が対象で、最多を占めたのは白人で55%だった。これに、アジア系15%、ヒスパニック11%、黒人7%と続く。技術系では白人の比率が54%、アジア系が23%、ヒスパニック6%となり、非技術系では白人が56%、次いでヒスパニックが14%、アジア系は9%となり、ヒスパニックとアジア系の順位が入れ替わる。
管理職では、白人の比率が増えて64%、アジア系が21%、ヒスパニック6%と報告されている。白人が過半数を占める状態はGoogle、Facebook、Twitterなどと同じだ。
性別では、グローバルベースのデータが公開された。全体は7対3で男性が多く、女性が最も高いのは非技術系の35%で、技術系は20%、リーダーシップは28%と、男性が大部分を占めていると言える。男女比もGoogle、Facebookらとほぼ同じだ。
「インクルージョンとダイバーシティはAppleでの自分のフォーカス分野であり、CEOとしては最優先事項」とするTim Cook氏は、ダイバーシティ(多様性)の定義として、「人種、性別、民族といった既存の枠組みを超えるもので、通常は測定が難しい性的な嗜好、退役軍人、障害など、その人のクオリティも含む」と記している。
そして、ソフトウエア・サービス部門担当執行バイスプレジデントEddy Cue氏、小売とオンラインストア担当執行バイスプレジデントAngela Ahrendts氏(女性)、環境イニシアティブ担当執行バイスプレジデントのLisa Jackson氏(女性)、人事・採用担当バイスプレジデントのDenise Young-Smith氏(女性)など、最近の昇進例を挙げた。管理職以外にも、マンハッタンのApple Storeに勤務し、視覚と聴覚に障害を持つというスペシャリストKim Paulk氏などを紹介している。
このように社内のダイバーシティ改善に務めるほか、Appleは米国最大規模の市民権団体Human Rights Campaignのスポンサー活動なども行っているという。
Cook氏は「誰なのか、出身はどこか、何を経験しているのかということは、問題を認識して解決していく方法に大きな影響を与える」とし、ダイバーシティの重要さを認識している姿勢を打ち出すと同時に、「CEOとして、今回のレポートの数字に満足していない」と、今後も製品開発でのイノベーションと同じようにダイバーシティでも革新をおこすことにコミットしていると述べている。