STMicroelectronicsは8月8日、超音波画像診断機器のコストならびにサイズを低減する8チャネル超音波パルサーIC「STHV800」を発表した。

同製品は、独自のSOI-BCD6プロセス技術により、低電圧CMOSロジック回路、高精度アナログ回路、および堅牢なドライバ回路が1チップ化されているのに加え、8つの独立したチャネルを搭載したモノリシック・高電圧・高速パルスジェネレータは、コントローラロジックインタフェース回路、レベルトランスレータ、自己バイアス付高耐圧MOSFETゲートドライバ、ノイズブロッキングダイオード、および各チャネルの出力段のハイパワーMOSFET(PNチャネル)を集積している。

また、各チャネルのパルス波用と連続波用の2つの出力段は、送信フェーズにおける強力なデカップリングを保証する送受信スイッチと統合されている。さらに、出力電圧トランジションが高速かつ対称なため、シャープな画像を得ることができ、複雑で高コストな画像処理アルゴリズムが不要となる。その結果、部材コストと基板サイズを削減することが可能になり、性能を低下させることなく、超音波画像診断機器の小型化と低価格化を実現する。より低価格な携帯型超音波検査システムは、先進国で一般的な胎児の超音波スキャンなど、放射線を使用しない安全な検査を、高額な機器の導入が困難な発展途上国で行えるようにする。そして、これ以外の用途として、ポイントオブケアの超音波画像診断機器や、ソナー、レーダ、非破壊検査機器、およびその他の圧電トランスデューサの駆動を必要とする様々な製品が想定できるとしている。

この他、1.5~3.6Vの入力電圧範囲、最大±90Vの出力電圧範囲、画像鮮明度を最大化する10nsのパルス制御機能、超音波ドップラー解析における正確な周波数応答を保証する10ps未満のジッタ、より高い画質が得られる低い2次高調波歪み(-40dB以下)、および外付けリファレンスキャパシタが不要な設計を特徴としている。

なお、パッケージは8mm角のLGA。価格は1000個購入時で約16ドル。現在、量産出荷中。

超音波画像診断機器のコストならびにサイズを低減する8チャネル超音波パルサーIC「STHV800」