北海道大学(北大)は8月6日、アラスカ州デナリ国立公園での日米共同の恐竜化石調査において、大型草食恐竜のハドロサウルス科が北極圏において集団行動をしていたことを解明したと発表した。同公園では約6,900~7,100万年前(中世代白亜紀後期)の地層が露出しており、2007年から共同調査が行われ、幅50m、長さ100mほどの大きな恐竜足跡化石産地から数千もの足跡化石が発見されていた。

同成果は、同大学総合博物館の小林快次准教授、米国ペロー博物館および同大学総合博物館招聘教員のアントニー・フィオリロ氏、カンザス大学のステフェン・ハシオタス氏らによるもの。詳細は米国地質学会誌「Geology」に掲載された。

今回の調査で発見された数千の恐竜の足跡化石は、ほとんどがハドロサウルス科のものであり、その他の無脊椎動物の化石から、夏につけられたものだと推測されるという。それらの大きさを測定し統制解析にかけたところ、成長段階1(幼体)は13%、成長段階2(亜生体)が3%、成長段階3と4(成体)84%という構成で、大きさの違う数世代の個体が集まって行動していることが判明した。この結果、ハドロサウルス科はこの地で集団行動により子育てをしていたことがわかり、小さな子供を多数つれて数千kmを旅することはできなかった考えられるため、ハドロサウルス科の恐竜は北極圏で越冬していたことがわかったと研究グループは説明している。

なお、同准教授らはハドロサウルス科だけでなく、当時の北極圏の生態系の復元を目指して、今後も調査を続けていくとコメントしている。

デナリ国立公園の位置

デナリ国立公園の恐竜足跡化石産地

A:成体の足跡、B:亜成体の足跡、C:幼体の足跡、D:皮膚痕

デナリ国立公園の復原画。ハドロサウルス科の集団とその他の動物たち (C)Courtesy Karen Carr