花王は8月7日、バイオマスの高度利用を中心とした環境技術研究を進めている「エコテクノロジーリサーチセンター」での藻類研究において、洗剤やシャンプーなどに使用されている界面活性剤の原料である天然油脂(パーム核油、やし油など)の主成分となる中鎖脂肪酸を多く生成させる酵素を発見したと発表した。

藻類の油脂生産能力は、パームの10倍以上のポテンシャルを秘めていると言われている。近年、化石燃料に代わる新たな燃料用原料の獲得を目的とした、脂肪酸が主成分の油脂を生産する研究例は多く報告されているが、中鎖脂肪酸についてはほとんど成果が報告されていなかった。今回の研究では洗剤用酵素から進化させた研究技術を用い、中鎖脂肪酸を多く蓄える株を複数見出し、中鎖脂肪酸の生成に寄与する「アシル-ACP チオエステラーゼ」という酵素を同定することができた。

同社はこれにより、中鎖脂肪酸を大量に生産する育種開発が大きく加速すると考えており、非可食原料での油脂原料ソースの獲得において世界の先駆けとなる大きな可能性があるとしている。今後、藻類からの油脂生産技術開発をさらに進め、工業的生産化を目指していく予定であるという。

藻類研究の様子