NECは、インド国内において再生可能エネルギー(太陽光発電)とリチウムイオン蓄電システムを活用した携帯電話基地局のエネルギーマネジメントを行う技術の実証実験を開始すると発表した。同実験は、NECが、経済産業省および新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実証事業「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業 インド共和国における携帯電話基地局へのエネルギーマネジメントシステム実証事業」の委託先として、デジタル機器の開発・販売しているピクセラと共同で行う。

この実証実験を行うことについて、NEDOとインド財務省経済局(MOF/DEA)、通信IT省電気通信局(DOT)、新・再生可能エネルギー省(MNRE)、携帯電話基地局の施設・設備サービス会社であるGTLインフラストラクチャーおよびVIOMネットワークスが合意し、8月6日に基本協定書(MOU)を締結した。

インドでは、携帯電話加入者の急増に伴い、基地局数が急激に拡大している一方で、電力供給が満足にされていない地域が数多くある。これらの地域では、基地局を継続運用するために、停電時などにディーゼル発電機を利用する必要があり、運用コストのうち高い割合を占めている。

同事業では、基地局に隣接して太陽光発電システムを設置した上で、建屋内にリチウムイオン蓄電システム、エネルギーマネジメントシステムなどを格納し、遠隔での監視・制御する。さらに、基地局建屋の外壁や屋根にピクセラの高日射反射率を有する光触媒塗料を塗布し、建屋内の温度上昇を抑制することで、基地局内で使用する電力量を削減するとしている。これらにより、ディーゼル燃料の消費量を削減するとともに、安定的に電力を供給できるシステムの実現を目指しており、2014年度から2年間のフィールド評価を予定している。

実施場所は、インド各地の計62カ所で、20カ所にエネルギーマネジメントシステムを導入するとともに、光触媒塗料の塗装を52カ所で実施する(一部基地局では両方実施)。なお、今回の実証による効果として、インドの携帯電話基地局40万局に導入した場合の基地局の省エネ率は約50%、毎年100万リットルのディーゼル燃料の消費削減を見込んでいる。

なおNECでは、今回の実証を通じて、新興国における同システムの事業可能性を検証し、グローバルでの新たなエネルギー事業開拓につなげていく考えだ。

実証内容の概要図