ケースレーインスツルメンツ社は8月6日、プレシジョン・プログラマブルDC電源「2280Sシリーズ」を発表した。
同シリーズは、ウェラブル端末などのバッテリ駆動で無線通信を行う低消費電力機器向けDC電源。近年の携帯機器における複数のスタンバイ状態やディープパワーダウンモードの搭載、1μAを切る動作電流のオペアンプといった超低消費電流デバイスの採用などの流れを受けて開発されたもので、ターゲットはメディカルやモバイル分野におけるバッテリ駆動の無線デバイスが中心となっている。
こうした小型低消費電力無線デバイスにおいては、特にペースメーカーのような電池交換が難しい場所での活用も含め、低消費電力化のニーズが高く、超低消費電力デバイスの採用による、より小さな電流の測定や、データ送信時とスタンバイ時、テスト時におけるピーク電流とスタンバイ電流の双方の測定といった必要性が増しているが、従来であれば、一般的な電源とデジタル・マルチメータを組み合わせて測定を行っていた。しかし、そうした無線デバイスの高性能化に伴い、より高性能な測定が必要となってきており、機器同士の接続によるノイズなどの抑制なども含め、より少ない台数の機器で、そうした測定を実現することが求められていたこともあって、同シリーズが開発されたという。
シリーズとしては、最大32V/6A出力の「2280S-32-6型」と、最大60V/3.2A出力の「2280S-60-3」の2種類を用意。いずれも、マルチメーターとしての測定として、負荷電流の小さな変動を確実に評価可能な6.5桁の分解能と、高い測定スピードを実現する3.5桁の分解能の切り替えが可能。また、電圧出力測定は、100μVまでの分解能があり、負荷電流も100nA~6Aの範囲でモニタリング可能であり、負荷電流測定レンジは10A、1A、100mA、10mAの4つが用意されているため、全負荷電流、待機モード電流、小さなスリープ・モード電流を正確に測定することができる。
さらに、パルスのピーク幅として最小140μsの負荷変動を捕捉することが可能なほか、最大2500ポイントの測定結果を保存可能で、保存した波形の統計処理として、トレンド解析や最小値や最大値、平均値、標準偏差、ピークtoピークといった計算も可能となっている。
このほか、使い勝手向上に向け、4.3型液晶ディスプレイを採用し、1層のアイコンベースのメニュー構成を採用することで、簡単に解析を実行することが可能。加えて、自動テストに向けた外部インタフェースとして、GPIBやUSB、LAN、デジタルI/Oなどを標準で装備。リモートでの動作確認を実現する「バーチャル・フロント・パネル」を活用することで、LAN経由で同製品のIPアドレスを入力することで、Webアプリとしてフロントパネルのインタフェースを、実際のパネルと同じように操作することも可能となっている。
なお、価格は2製品ともに15万8000円(税別)となっている。