KDDIとKDDI研究所は7月29日、LTE-Advanced向けの無線機内蔵小型アンテナ「アクティブアンテナシステム(Active Antenna System、以下AAS)」で、「指向性制御技術」を実装した屋外実験を実施したと発表した。AASに指向性制御技術を実装しての実験は国内初で、電波を強める方向と弱める方向を制御し、カバーエリア形状を自在に制御できるという。

AASの仕組み

AASは、同一筐体に複数のアンテナと小型無線機を搭載した基地局装置。従来の非一体型装置と比べてカバーエリアを拡大できるほか、基地局設置の省スペース化、消費電力や基地局設置コストの削減などが可能となる。また、3.5GHz帯など高い周波数帯に用いることで効果が高いとされ、4G以降の将来のモバイルネットワークでの活用が期待されている。

指向性制御技術による通信品質改善のイメージ

今回の実験は、指向性制御技術の通信品質などの有効性を検証するためのもので、AASをマクロセルに用いて実施した。その結果、従来の基地局装置と比較して、マクロセル内のスモールセルエリアでのダウンロード速度が約1.6倍となることを実証できたほか、消費電力を約50%低減できることを確認できたとしている。