「今年は是非1位を目指して頑張っていただきたい」――。日本マイクロソフト本社で行なわれたImagine Cupの壮行会で代表取締役社長の樋口 泰行氏が発した言葉は、みんなの想いを端的に表わしていた。
米Microsoftが主催するImagine Cupは、同社創業者であるビル ゲイツ氏の発案によって2003年より開催する学生向けのITコンテストで、今年で12回目の歴史を持つ。
35カ国、約7500チームからの応募があり、わずか33チームがマイクロソフトのお膝元、米国・シアトルで行なわれる世界大会へ駒を進めた。今年の日本チームは、三重県 鳥羽市の鳥羽商船高等専門学校の学生チーム「かぞくぐるみ」が出場する。
「かぞくぐるみ」の作品は、高性能センサーで人体の動きをスキャンし、ネット経由で遠隔地にある"ぬいぐるみ型ロボット"に送信するコミュニケーションツール。遠隔地に住む家族間でのコミュニケーションなどの利用を想定している。
日本に必要なものは"アピール力"
これまでの日本チーム最高順位は、2年前のシドニー大会における東京高専の2位。1位を目指してほしいという樋口社長の言葉には、日本マイクロソフトとしての想いも込められているように思える。
その過去最高順位であったチームと今回のチームの共通点は「高等専門学校(高専)」だ。高専は、「深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成すること」を目的とする高等教育機関の一つで、一般的な高校よりも長い5年制で勉学に励む。
国立の高専をたばねる国立高等専門学校機構で理事長を務める小畑 秀文氏も壮行会に参加。「高専として、こういった優秀な学生を育てていきたい。そのためにも、日本マイクロソフトと協力して頑張りたい」と語り、専門性をもった高等教育機関として、日本のIT産業を盛り上げていく意気込みを語った。
ほかにも、日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー エクスペリエンス&エバンジェリズム統括本部長の伊藤 かつらさんや、過去のニューヨーク大会で審査員を務めた慶応義塾大学教授の稲見 昌彦氏、日本マイクロソフトで社長などを歴任した慶應義塾大学教授の古川 享氏などが参加。
参加者が口を揃えて話していた日本代表に必要なものは「アピール力」だ。壮行会直前に行なわれた英語での最後の予行練習でも指摘されていたのだが、「もっと感情を前面に出していこう」という声が多く聞かれた。
慶応 稲見氏は「日本人は力はあるんだけど、他と比べてどれだけの力を持っているか、自分たちでもわかっていないことが多い。そういうポジションを確認することで、初めてアピールできることがあると思う」と話す。
また、日本マイクロソフト 伊藤さんは「欧米人はアピール力がすごい」と前置きした上で、「皆さんと全然違う経験をして、全然違う環境で育ってきた。アピールがすごいからといって臆することはない。他の人と違うということ自体が強みなので、経験を大事にしてください」と前向きに頑張ってほしいとメッセージを送った。