Freescale Semiconductorとエルイーテックは7月28日、プロセッサの異常動作を防ぐための高信頼プロセッサソリューションを共同開発したと発表した。

同ソリューションは、外因性の静電気放電、誘導雷などからの電気的ショックにより、プロセッサ(CPU)が異常動作に陥ってしまうような問題を解決するものである。これにより、産業用ロボットや無人計測機といった高いノイズ耐性が要求される組み込み機器において安定した動作を可能にする。

CPUコアの異常動作への対処として、従来はウォッチドッグタイマで監視し、応答がない場合には強制リセットするといった使い方が一般的である。これに対し、今回開発したソリューションでは、CPUコアに周期的かつ高頻度なリセットを掛けながら動作させることで、外的要因からCPUに異常が起こった場合でも最短時間で正常動作に戻すことができる。

具体的には、エルイーテックの高レジリエンス技術「FUJIMI」と、Freescaleの最新プロセッサ「QorIQ LS1020A」を組み合わせることで実現した。「QorIQ LS1020A」は、ARM Cortex-A7コアを2つ搭載し、3W以下の消費電力で5000CoreMark以上のスコアを発揮する。また、エラー訂正コード(ECC)をサポートするメモリコントローラに加え、L1キャッシュおよびL2キャッシュもECC保護し、ネットワークインフラ機器や産業機器で要求される高信頼性に対応する。

一方、「FUJIMI」はCPUのみに高頻度なリセットを掛けて安定動作を実現するとともに、これをサポートするソフトウェアにより最小限のオーバーヘッドのみで動作する組み込みソフトウェア技術である。ウォッチドッグタイマと異なりプログラマミング性能に依存しない暴走の監視に加え、システムモニタリング、システムの自動補修を提供して、フォールトトレラントと呼ばれる無停止システムを実現する。

なお、「FUJIMI」と「QorIQ LS1020A」を組み合わせた高信頼プロセッサソリューションのサンプルは、10月より提供開始の予定。