日本学術会議の幹事会は7月25日、声明「STAP細胞事案に関する理化学研究所への要望と見解」を発表した。その中で、理化学研究所(理研)発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のSTAP 細胞論文問題は「一部の図版の不正な置き換えにとどまらず、研究全体が虚構であったのではないかという疑念を禁じ得ない段階に達している」「指摘された研究不正の深刻さから、我が国の科学研究全体に負のイメージを与える状況が生み出されている」と指摘し、関係者の責任を明確にするよう理研に求めた。
学術会議の大西隆会長、3人の副会長、3部の部長や副部長、幹事の計16人の連名による声明で、科学研究への信頼を揺るがす状況の進行に危機感を強くにじませた。理研の「研究不正再発防止のための改革委員会」(委員長・岸輝雄東京大学名誉教授)が6月12日に出した提言書に沿って早急に研究不正防止策を実行するよう要望した。
提言書の「STAP問題が一研究者の不正にとどまるものではなく、防止する機会が何度もあったにもかかわらず、それらを漫然と見逃し問題を巨大化させた理研発生・再生科学総合研究センターの指導層に大きな過失責任があった」との指摘に説得力を認め、理研の見解を早急に示すとともに、速やかな調査による不正解明と関係者の責任の明確化を要請した。
さらに学術会議は「我が国の科学研究の健全性を向上させることに責任があると認識しており、理研が健全性を回復するために行うすべての行動を支援する」と約束した。文部科学省で策定しつつある「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」に学術会議も積極的に協力していく姿勢も強調した。
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