IDC Japanは7月24日、2014年4月に実施したユーザー動向調査「2014年 国内クラウド調査」の結果を発表した。
現在、クラウドは「SaaS」「パブリッククラウド」「プライベートクラウド」「業界特化型クラウド」といった配備モデルで提供され、すべてのモデルにおいて利用率は年々上昇しているという。同調査では、SaaS、パブリッククラウドを利用中と回答する割合はそれぞれ29.6%、25.1%となった。
一方、クラウドの認知度(理解度)は、2013年まで毎年、堅調に向上してきたが、同調査ではわずかに低下した。例えば、「理解している(『よく理解している』『概ね理解している』の合計」との回答率は、SaaSでは38.8%(2013年)から35.4%(2014年)、プライベートクラウドでは39.6%(2013年)から36.0%(2014年)となった。
この背景として、従来、ASP(ホスティング型アプリケーションサービス)や仮想化を「クラウド」と認識してきた企業が「クラウドの本質」を考えるようになり、クラウドを「理解している」との回答率が下がったためと指摘されている。
クラウドに対する印象は、従来から肯定的な印象を持つ企業が多かったが、同調査では、「安価」「迅速」といった利点に対する回答率がわずかに減少。この点について、同社はクラウドに対する正しい理解が進み、期待過剰傾向にあったクラウドの印象の是正されたためと考えている。
同社は、ITの効率化のみに焦点を合わせた場合、クラウドは国内IT市場を縮小に導く一方、クラウドを使ったイノベーションは、新しいIT市場を創造すると共に、事業や社会活動を変革するとしている。
ベンダーに対する忠言として、「クラウドは普及期を迎え、すべてのベンダーはクラウドに注力する必要がある。ベンダーにとって重要な課題は、『ITの効率化』と『ITを使ったイノベーション』という異なる命題に対応し、効果的な事業戦略の立案とその迅速な遂行」と同社ではまとめている。