セイコーインスツル(SII)の関連会社で放射線計測機器・理化学測定機器の輸入、製造、販売を行うセイコー・イージーアンドジー(SEGG)は7月23日、微量な質量変化と粘弾性変化の同時測定、およびアドミタンスの周波数特性測定が可能な、水晶振動子測定システム「QCM922A」を発表した。
同製品は、水晶振動子を用いて微量な質量変化を測定する、水晶振動子マイクロバランス(QCM:Quartz Crystal Microbalance)装置である。具体的には、水晶振動子が印加された交流電圧により共振振動する際に電極表面に付着する物体の微量な質量変化が共振周波数変化に比例する原理を用いて、質量変化を測定する。今回発表の「QCM922A」は、従来機と同様に他励発振式を採用し、電極表面の質量変化を共振周波数変化として測定すると同時に、粘弾性変化の指標となる共振抵抗変化を測定する。湿度や匂い物質などの気相分析、めっきなどによる成膜の膜厚測定、タンパク質などの生体高分子間相互作用の測定、高分子の形成や分解のリアルタイムモニタなど、幅広い分野の研究開発に利用できる。また、通常の測定モードに加えて、アドミタンス測定モードで、特に材料分野での要請が多かった共振抵抗以外の粘弾性に関する情報が得られ、定量的な物性評価も可能になった。さらに、通常の測定モードでも基本性能の大幅な向上を図っており、従来機が測定間隔100ms、共振周波数0.1Hz、共振抵抗0.1Ω単位の分解能で10MHzまでの共振周波数測定に対応したのに対し、同製品は測定間隔10ms、共振周波数0.01Hz、共振抵抗0.01Ω単位と高分解能を実現しつつ、共振周波数は30MHzまでの高感度測定に対応している。
なお、価格は「QCM922A フローセルシステム」が205万円(税抜き)、「QCM922A バッチセルシステム」が188万円(税抜き)、「QCM922A ディップセルシステム」が194万円(税抜き)、「QCM922A EQCMシステム(ポテンショスタットなし)」が225万円(税抜き)。7月30日より発売する。