モバイルデバイスのアプリやコンテンツを含めた統合的な活用を目指すEMM(Enterprise Mobility Management)ベンダーのモバイルアイアンが日本に本格上陸する。これまでにも、オンプレミス型のEMMプラットフォームなどを提供してきたが、クラウドベースのEMMサービスで完全日本語化を行ない、東京にデータセンターを設置した。
クラウドベースでEMMサービスを提供するため、数分でユーザーの追加ができ、様々なOS、プラットフォームを統合管理できるようになる。また、クラウドベースであるため、高可用性も特徴で、数十台レベルのモバイルデバイス運用から数百万台規模まで、幅広い企業規模に合わせたサービスを提供・管理できるとしている。
東京にデータセンターを設置して、国内法によるデータの安全性が担保できる一方で、グローバルDR(ディザスターリカバリー、災害復旧対策)の機能も用意しており、「エンタープライズグレードのセキュリティを持ち合わせている」としている。
EMMはプラットフォームに中立であることが重要
同日、モバイルアイアンは東京都内で記者会見を開き、米MobileIron プレジデント 兼 CEOのボブ・ティンカー氏とアジア太平洋・日本担当セールスバイスプレジデントの柳下 幹生氏が登壇した。
ティンカー氏は冒頭、「エンタープライズモビリティで重要なのものは、選択肢を企業が用意すること」と語り、OSに限らずアプリやコンテンツなど、全ての領域でプラットフォームに依存することはユーザーのためにならないと主張した。
「新しいモバイルの世界が立ち上がって重要性が増す中で、我々のお客さまから聞くことは『EMMベンダーに求めることは、信頼性が高く、プラットフォームに対する中立性』と言われている」(ティンカー氏)
EMM市場は急速な伸びを示しており、コンペティター(競合企業)がいないとティンカー氏は語る。米市場調査会社のガートナーは、モバイルアイアンを3年連続でLeaders Quadrantに選出しており、売り上げも年々増加している。
「私たちはベストインクラスのソリューションが提供できており、世界で6000社の顧客がいる。グローバル2000に入るトップ企業のうち、400社以上が我々のソリューションを活用しており、設立から4年足らずで1億ドル(約100億円)まで売り上げが伸びた」(ティンカー氏)。ティンカー氏は続けて、日本について「重要なマーケット」とした上で、調査会社ITRのレポートでは、すでにNo.1シェアを獲得したことも紹介した。
なぜ、世界でモバイルアイアンが選ばれているのか。ユーザーがBYOD端末であってもセキュアな環境で企業アプリを利用でき、企業向けのモバイルアプリプラットフォームをモバイルアイアン内で提供。コンテンツも社内サーバーからセキュアブラウザを通してアクセスできるなど、統合的な環境を簡単に、スピーディーにアクセスできるからだと話すティンカー氏。
最後に「モビリティがエンタープライズの中における存在感が増している。エンタープライズの将来はモビリティに懸っているといってもいい。マルチOSで、これまでのようにEメールだけではない、様々なアプリを利用でる環境の構築が急務。EMMは、企業内で新しいプラットフォームとして、ポジショニングが必要となるだろう」と語り、モバイル環境をデバイスだけではなく、統合的に有機的に管理する重要性を説いた。