産業技術総合研究所(産総研)は7月18日、高性能計算を実行する環境を一度つくれば、異なるクラウド上でも簡単に仮想クラスタ型計算機を構築でき、すぐに使える技術を開発したと発表した。同成果は、同所 情報技術研究部門によるもの。
一般的に、高性能計算には複数の計算機を束ねて1つの計算機として利用・運用するクラスタ型計算機を用いるが、ハードウェアの構成は一様ではない。一方、クラウドでは、ハードウェアの構成に依存しない仮想計算機が提供されているので、これを複数束ねた仮想クラスタ型計算機を構築することもできるが、クラウドが異なるとユーザーはソフトウェアのインストールや設定などをやり直す必要がある。そこで今回、アプリケーション実行環境を一度作れば、プライベートクラウドと商用クラウドなど、どのようなクラウド上でも実行できる「Build Once, Run Everywhere」という設計思想による仮想クラスタ型計算機の構築技術を開発した。同技術では、仮想計算機の数を自由に設定できるため、計算能力が不足したら、より多くの仮想計算機を利用できるクラウド上により大きな仮想クラスタ型計算機を構築して、まったく同じ使い勝手で使用できる。
また、同所内のプライベートクラウドであるAIST Super Green Cloud(ASGC)上に仮想クラスタ型計算機を構築し、これが商用クラウドAmazon EC2でも使用できることを実証した。同技術により、従来高性能計算を活用できなかったユーザーや応用分野でも、高性能計算を利用できるようになるため、産業競争力の強化が期待できるとコメントしている。