自社の商品やサービスを販売するだけの店舗ではなく、内装やデザインでブランドの世界観を伝えるための体験の空間と位置づけたショップが近年、続々と誕生している。今回はそんな例をいくつか紹介していきたい。
マーク ジェイコブスが手がけるブックストア「BOOKMARC」
2013年10月に東京・原宿に登場した、ニューヨーク発ファッションブランド「マーク ジェイコブス」が手がける新感覚ブックストア「BOOKMARC」。デザイナーであるマーク・ジェイコブス氏自身のインスピレーション源となるアート、ミュージック、カルチャーなどの厳選された洋書を中心にセレクトしている。ジャンル別に書籍を紹介するコーナーのほかに、表紙や背表紙、裏表紙といったその本の“顔”となる部分を組み合わせたレイアウトを施すなどブランドのイメージを体験できる空間に演出されている。
レクサス×カッシーナ・イクスシー
東京・南青山にあるトヨタの高級車ブランド・レクサスのブランド体験スペース「インターセクト バイ レクサス」では、8月19日まで期間限定のラウンジ「Summer Music Lounge with Cassina ixc.」を展開中。ラジオ局のINTER FMとのコラボレーション企画として実施しており、7月に放送を開始した同局の新番組「SoundLines from “INTERSECT”」と連動し、番組メインMCのTOWA TEI氏や各ゲストがセレクトした“大人の夏と音楽”をテーマにした音楽プレイリストを楽しむことができる。
空間プロデュースを手掛けるのは、イタリアの高級家具ブランド・カッシーナ・イクスシー。通常はレクサスのコンセプトカーが置かれているガレージに、カッシーナ・イクスシーの上質なイスやテーブルを配置して、夏を心地よく過ごす“コンフォートシーサイドスタイル”を提案。「大人のカスタマイズかき氷」や「フローズン シャンパーニュ」といった特別メニューも用意し、レクサスが自動車を通じて提供している“心地よさ”という価値を体験できる空間として展開している。
新たに誕生したアップルストア表参道
アップルが6月13日に開店した「アップルストア表参道」もそのひとつ。店内は、左右と正面の3方向の壁を総ガラス張りにし、3階建てに相当する高さの建物を1フロアにする解放感ある構造。さらに、視界を遮る柱がなく、明るい日中はらせん階段部の吹き抜けを通して地下にも光が降り注ぐ空間を演出し、ブランド店にありがちな「入りにくさ」や「お高い印象」を徹底的に排除するよう店内のレイアウトも工夫が施されている。
また、銀座や渋谷など既存の店舗と同様に、店内では製品の不具合や修理の相談を受けることができる「ジーニアスバー」や、個別の相談が受けられるワークショップなど、無償のサービスを提供。どちらもカウンター形式ではなく、テーブルの周りに椅子が置かれる形式を初めて導入している。より気軽に相談しやすい空間となっているのも特徴だ。