IBMのx86サーバー(PCサーバー)である「IBM System xシリーズ(以下、System x)」が、1994年に「IBM PC Server 300」として発表されてから20周年を迎えた。IBM PC Server 300は、CPUにインテルが1993年5月に出荷を開始した第1世代のPentiumプロセッサー/60MHzを採用し、 16MBのメモリと1GBのディスクを搭載。当時としては最先端のPCサーバー製品であった。
1997年9月には、IBMのPCサーバーとしては2代目となる「IBM Netfinity 7000」が登場した。IBM Netfinity 7000は、タワー型およびラックマウント型の2種類の筐体に、標準構成でPentium Proプロセッサー/200MHzと256MBのメモリを搭載し、価格は380万円より。最大構成では、CPUが4つまで、メモリが4GBまで、ハードディスクが54.6GBまで拡張できる仕様になっていた。
PCサーバーの3代目は、2000年10月に発表された「IBM eServer xSeries 200」である。タワー型の筐体にPentium IIIプロセッサー/800MHzを採用し、64MB~1.5GBのメモリと15GB~90GBのディスクを搭載。価格は13,8万円より。このときIBMサーバー製品のブランドを「IBM eServer」に統一。Unix系が「IBM eServer pSeries」に、オフコン系が「IBM eServer iSeries」に、メインフレーム系が「IBM eServer zSeries」に変更された。
そして、現在提供されているIBM PCサーバー「IBM System xシリーズ」は、2006年4月に最初の製品である「IBM System x 3850」が発表された。IBM System x 3850は、3Uサイズの筐体に、64ビット インテル Xeon プロセッサー MP、2GBのメモリを標準搭載し、最大440.4GBのディスクを搭載可能。価格は98万円より。最新版は2014年2月に発表された「IBM System x3850 X6」である。
最新X6アーキテクチャーに基づくIBM System x
誕生20周年を迎えたSystem xは、最新のプロセッサーを搭載した高いパフォーマンスや豊富なオプション製品群による機能拡張、システムの障害発生を予知して通知する高い可用性などが特長のPCサーバーである。IBMが独自に培ったサーバー技術である「エンタープライズX-アーキテクチャー(Xアーキテクチャー)」に基づき開発されている。
2001年に第1世代が発表されたX-アーキテクチャーは、2014年1月に発表された最新のX6アーキテクチャーに至るまでに13年の実績がある。最大の特長は、高速化、俊敏性、自己回復力を兼ね備えたITインフラを実現できることだ。
高速化では、新たに開発された「eXFlash メモリー・チャネル・ストレージ」により、PCI-eベースのFlashストレージに比べて約3倍の高速化を実現した。これにより、データベースやERPなどのI/O要件が高いワークロードはもちろん、ビッグデータやアナリティクス、クラウドコンピューティングなどの新たなワークロードにおいても、高いパフォーマンスを発揮することが期待できる。企業の迅速な意思決定を可能にし、市場での競争力を高めることが期待できる。
俊敏性では、新たに設計されたX6 コンピュート・ブックにより、俊敏なシステムアップグレードを実現。次世代のCPUやメモリが登場しても、新しい筐体を調達することなく、必要に応じて「コンピュート・ブック」「I/Oブック」「ストレージ・ブック」とコンポーネントごとに導入、追加、アップグレードできるようになるのだ。部分的な、グレードアップを図れるため、まさしく”PCサーバ”として、長期的にIT投資を保護することができる。
さらに自己回復力では、プロセッサー、I/O、メモリなどの潜在的な障害を事前に検知し、自己修復、自動回復する機能を搭載。クラウド環境におけるミッションクリティカルなシステムの利用を可能にする。また「IBM Upward Integration Module(UIM)」により、物理環境、仮想環境に関わらずシステムの運用効率と可用性を向上させている。
人気モデルが20周年を記念して最大13%値下げの「20周年記念キャンペーン」
日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)では、IBM PCサーバー誕生20周年を記念し、ビジネスに必要な仕様・構成で、さらに人気の高いオプション製品を組み込んだ状態でSystem xを提供する「IBM Express Advantageオファリング」モデルの中から、特に人気の高い最新7製品ファミリー40モデルを最大13%値下げした。
この値下げでは、たとえば「IBM System x3550 M4 Express」モデルのうち、1Uサイズの薄型パッケージにインテル Xeon プロセッサー E5-2603 v2/1.80GHzおよび8GBのメモリが標準搭載されたモデル(7914-PJH)が、旧販売価格37万円から13%引きの32万円で提供されている。
値下げの詳細は、日本IBMのウェブサイトで紹介されている。なお、日本IBMでは選りすぐりのIBMおすすめシステム製品情報をシンプルにまとめたカタログ「IBMシンプルチョイス」も提供している。
“Lenovo”へ移行後も、IBMが5年間サポートを継続
IBMは2014年1月23日、レノボのよるIBM x86サーバー事業の取得計画に最終合意したことを発表している。しかし、事業が完全に統合されるまで、IBMはx86サーバー製品の販売および既存のサーバー製品を含むカスタマーサービス事業を継続することを明らかにしている。
さらに、レノボによるIBM x86サーバー事業の取得完了後も、5年間はIBMが保守サポートサービスを継続して提供する。IBMとの間に保守サポート契約がある顧客企業は、契約期間中、契約内容に関する変更はないことから、今回の20周年記念キャンペーンは最新版のIBM System xサーバーを賢く導入する絶好の機会といえるだろう。