東京都・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでは、ピカソやマティスなどとともに20世紀前半のフランスで活躍し、色彩あふれる作品で知られる画家、ラウル・デュフィの回顧展「デュフィ展 絵筆が奏でる 色彩のメロディー」を開催している。開催期間は7月27日まで、開館時間は10:00~19:00(金土は21:00まで)。入場料は一般1,500円、大学・高校生1,000円、中学・小学生700円。大阪のあべのハルカス美術館(8月5日~9月28日)、愛知県美術館(10月9日~12月7日)に巡回する。
同展は、デュフィが故郷のル・アーヴルを出てパリ国立美術学校に入学する1899年から晩年に至るまでの、日本初公開を含む油彩、素描、版画、テキスタイル、家具など、多種にわたる作品を紹介している。その中には、パリ万国博覧会のための巨大装飾壁画「電気の精」のリトグラフや、精力的に制作に打ち込んでいた1930年代の代表作「馬に乗ったケスラー一家」なども含まれており、明るい色彩と軽快な筆さばきで描く、デュフィ独自のスタイルが確立されるまでの過程をたどることができる。
また、社会や生活の明るい側面を鮮やかに描き出すデュフィの作品は、「生きる喜び」を表現するものとして評されてきたが、そうした作品の一面ばかりに注目が集まった結果、時にその本質が見過ごされ、真の芸術家としての評価が軽んじられてきたという歴史もある。詩人であり美術批評家でもあったギヨーム・アポリネールは、デュフィを「不遇にして、偉大なる画家」と評している。