最近良く聞く「データ・サイエンティスト」が何か説明出来ますか?なんとなく分かっているつもりの今どきマーケティング用語を、SMMLabがやさしく解説します!
用語説明:【データ・サイエンティスト(Data Scientist)】
膨大なデータを収集・分析し、様々な予測や判断からビジネス上有益な情報を引き出す専門家。企業にとって「ビッグデータ」の活用が競争力強化の最重要課題となりつつあり、そのカギを握るデータ・サイエンティストへの注目が高まっている。
2012年10月に米誌ハーバード・ビジネス・レビューで「21世紀で最もセクシーな職業(the sexiest job of the 21st century)」と紹介されたことから、一躍世界中に広まった。
参考:ビッグデータとは?
http://smmlab.jp/?p=8630
解説
データ・サイエンティストの人材不足が「ビッグデータ」活用の壁
総務省の「2013年版情報通信白書」によると、「ビッグデータ」をフル活用した場合、「今まで見えなかった傾向や動向を可視化し、そこから埋もれていたニーズを発掘し、新たな商品やサービスの開発・投入につながっていくなど、企業や社会において、効率化だけでなく新規市場の開拓など様々なプラスの効果が生み出され」、その経済効果は、年間7兆7700億円と試算されています。
そのため「ビッグデータ」活用は今や、日本の企業や政府が成長戦略を描く上で避けて通れない重要な国家戦略として位置づけられていますが、一方で主導的な役割を担うデータ・サイエンティストの人材不足が大きな問題となっています。
野村総合研究所(NRI)の調べによると、「データ・サイエンティストという呼称を持つデータ分析の専門家が社内にいる」が0.9%、「データ・サイエンティストという呼称ではないがデータ分析の専門家が社内にいる」が7.4%と、実際にデータ分析担当がいる企業は1割に達しません。このままで行くと将来的に国内ではデータ・サイエンティストが約25万人不足すると予測されており、人材育成が急務となっています。
参考:「データ分析のビジネス活用」をテーマとする2018年度までのITロードマップ
http://www.nri.com/ja-JP/jp/news/2013/131122.aspx
データ・サイエンティストが日本再生のカギを握る?!
しかし、データ・サイエンティストは、統計学や数理学といったデータ解析の知識はもちろんのこと、データ収集や処理、加工、保存、分析のための複雑なITの知識も必要であり、さらに企業や組織の課題を解決する知見を提案するコンサルティング能力も求められる極めて高度な専門職ですが、そもそも日本の大学には統計学や数理学に関する専門の学部や学科がほとんど存在せず、専門分野を学ぶ人材が諸外国に比べて、圧倒的に少ない状況です。また、具体的にどのようなスキルが必要なのか、どのように学べばよいかといった情報が殆どありません。
そこで政府は、2012年7月に公表した「日本再生のための戦略」の中で、科学技術イノベーション・情報通信戦略「クラウド等を通じたデータ利活用による競争力確保のための環境整備」として、データサイエンティスト育成を重要施策にあげ、官民一体となった人材育成の取り組みを始めています。
参考:「日本再生に向けた改革工程表」
http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2011/subcommittee/120803/item5_2.pdf
スター誕生まで待てない!早期に成果を出すために
「データ・サイエンティスト」が不足している現在は、データサイエンティストの役割を、収集・加工といった「データ管理」を担当するエンジニア、データを解析・分析するアナリスト、分析結果からビジネス的知見を引き出すマーケターで分担し、「データ・サイエンス・チーム」を組んで対応するのが現実的ではないでしょうか?
そして実際にビッグデータ活用を実践しながら、それぞれのスキルを拡張し、データ・サイエンティストへの進化を目指すのが近道だと考えられます。
イラスト
速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ
本稿は、ソーシャルメディアマーケティングラボにて掲載された記事を転載したものです。
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