米Appleと米IBMは7月15日(現地時間)、エンタープライズモバイル分野での包括的な提携を発表した。IBMのエンタープライズ仕様のコンピューティングと分析技術、iPhone/iPadのユーザー体験を組み合わせることで、次世代のエンタープライズモビリティを提供するという。iPhone/iPadのビジネス分野の開拓がさらに進むことになりそうだ。
IBMとAppleというかつてのライバルが、現在の強みであるエンタープライズ向けのソフトウェア(IBM)とコンシューマ向けの優れたユーザー体験を持つデバイス(Apple)で手を組む。企業が必要とするデバイスだけでなく、サービス、セキュリティ、統合などの機能を提供することで、法人分野におけるモビリティを加速すると、提携の狙いを説明している。
提携の下、IBMの分析、データセキュリティ、デバイス管理などのクラウドソフトウェアをiOS上で利用できる業界特有のソリューションを提供する。すでに、2社の開発者、デザイナー、エンジニアが協業して「IBM MobileFirst for iOS」として、100以上のエンドツーエンドのモバイルソリューションを開発中だという。この中には新しいカテゴリも含まれるとのことだ。
「IBM MobileFirst platform for iOS」は、IBMのMobileFirst Platformを利用してiOS向けに統合アプリを構築・実装できるもので、IBMのデータ分析、デバイス管理、セキュリティなどの機能をネイティブで提供する。IBMはまた、IBM MobileFirstブランドの下、iOS端末に対し販売を含む調達・ライフサイクル管理サービスをエンドツーエンドで提供する。IBMは自社オンサイトサポートを組み合わせたAppleCareも提供する。
IBM MobileFirst for iOSはiOS 8のリリースに合わせ、2014年秋から順次リリースする。
AppleのCEO、Tim Cook氏はプレスリリースでiOS端末はFortune 500企業の98%に利用されていることに触れながら、「iOSユーザーは名高いIBMのビックデータ分析を初めて利用できるようになり、Appleにとって大きな市場のチャンスが開ける。この提携は、エンタープライズに向けた大きな一歩となり、AppleとIBMの組み合わせでしか実現できないことだ」とコメントしている。