アジレント・テクノロジーは7月11日、感度および堅牢性を向上させたトリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)「Agilent 6495 トリプル四重極LC/MSシステム」、デュアルビュー対応の誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)「Agilent 5100 ICP-OES」、そして精密質量分析を実現した「iFunnel四重極飛行時間型(QTOF)液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)システム」に、均一電場イオンモビリティー技術を統合した新技術「6560イオンモビリティQTOF LC/MSシステム」を発表した。

アジレントの元素分析装置ラインアップと今回発表された3製品の概要

5100 ICP-OESは、高速分析を実現することでガスの使用量を抑えることができることから、分析が難しいサンプルにも最大限に性能を発揮することが可能。また、従来のデュアルビューシステムでは、1サンプル中の全元素を1回だけで分析することは不可能であったが、5100 ICP-OESでは、新規採用のダイクロイック・スペクトラル・コンバイナーおよびシンクロナス・バーティカルビュー技術により、1回の分析で必要な情報を得ることが可能であり、これにより、分析時間短縮、高感度分析、操作性向上を実現することが可能となったという。

具体的には、市販されている同等製品と比較して、分析スピードは55%高速ながら、ガス使用量は50%に抑えることが可能だという。

また、直観的な操作を実現したソフトウェア「ICP Expert」とダイクロイック・スペクトラル・コンバイナー技術により、メソッド開発も容易に行えるほか、1回の分析で短時間に全元素のデータを正確に取得することが可能。さらに、垂直配置トーチを採用していることから、高マトリックスのサンプルから揮発性有機溶媒まで、分析の難しいサンプルも精度よく分析することが可能だとする。

価格はおよそ1000万円(税別)からとのことで、環境関連や食品、材料、化学エネルギー分野を中心に、発売1年間で100台の販売を目指すとしている。

Agilent 5100 ICP-OESの概要

一方のAgilent 6495は、フロント部である液体クロマトグラフ(LC)には「Agilent 1200シリーズ UHPLCシステム」を採用したほか、前世代機である6490より、イオン透過量の最適化、新設計テイパー型コリジョンセル、高電圧コンバージョンダイオード検出器などの採用により、検出感度を約3倍改善したほか、マスレンジは1400から2000Da以上に、スキャンスピードの20%改善などを実現したとする。

「Agilent 6495 トリプル四重極LC/MSシステム」の位置付けと概要

6495では、性能強化が図られた部分もあるが、従来機である6490からそのまま機能を継承している部分もある

6490に比べ、検出感度や堅牢性が向上していることが実験的に確かめられた

また、6560イオンモビリティQTOF LC/MSシステムは、物質に含まれる分純物などを高感度で測定することが可能なほか、脱法ドラッグなどの構造が不明な物質の構造式を推測することを可能とするもの。均一直流電場イオンモビリティを搭載することにより、従来以上の高分解能を実現したほか、精密な衝突断面積の直接測定が可能となった。また、分子配座の構造特性を維持することも可能であり、複雑なサンプルの検出カバー範囲を拡大することを可能とする。

6560の概要とイオンモビリティーの概要

価格は6560が、システムとして9000万円(税別)から、6495がシステムとして6000万円(同)から、としており、ターゲットとしては、6560が脱法ハーブなども含む構造解析分野、6495が製薬や食品化学分野としている。