独Schottは7月10日、高電圧コンデンサ用誘電材料として、ガラスセラミック「POWERAMIC」を開発したと発表した。
コンデンサは、2枚の金属板の間に挟まれた誘電体に、静電エネルギーを蓄電する受動部品である。主に、電力変換装置における電流変動の緩衝、カップリングや平滑用に使用される。このうち、高電圧コンデンサは、半導体の加工や視力矯正手術で利用されるエキシマレーザ機器の他、医療用X線装置、工業用高電圧電源(HVPS)や、再生可能エネルギー用送電システムに必要不可欠な部品として、近年その需要が高まっている。一方、コンデンサにかかる電圧や電流密度が高くなると、熱負荷も増加する。現在、高出力機器用コンデンサに使用されている誘電材料は、ポリプロピレンやN4700などのセラミックが主流だが、90℃以上の環境では静電容量が小さくなったり、製品品質の信頼性が失われるなどの問題が生じている。
同製品は、空隙が無く緻密性が高いガラスセラミック誘電材料であり、高温下でも絶縁性と破壊強度に優れ、既存のコンデンサ材料を最大で10倍上回る高いエネルギー貯蔵密度を有しており、高電圧コンデンサの小型・軽量化と高性能化を実現する、画期的な材料となっている。