リコーは7月8日、医療・ヘルスケア、ライフサイエンス分野における新規事業開発に向けた第一歩として、遠隔生涯ヘルスケアサポート「RICOH Remote-Lifetime Healthcare Support(R-LHS)」サービスの試行実験をグループ会社の従業員を対象に開始したと発表した。

遠隔生涯ヘルスケアシステムとは、対象者の勤怠、健診、生体・環境モニタリングなどからなる健康情報データベースと、専門スタッフ(産業医)が対象者に遠隔面談を行うプラットフォームで構成されている。経年・継続的な健康情報の検証により、対象者には健康予報、経営者には企業ヘルシー度指標が提供される。これにより、対象者の健康維持と、労働意欲活性化だけでなく、経営者の健康経営に対する維持向上に寄与するとしている。

同システムのプロトタイプは遠隔医療画像伝送事業を行うViewSend ICTと共同開発されたもので、対象者の医療画像を産業医と一緒に見ながらコミュニケーションすることができる。産業医の指導・ニーズに基づいて構築された。工場や支社、営業所などにその都度、産業医が出向かずに、離れた場所から面談、データ処理を行える利便性を有しており、すでにリコー社内の複数の拠点で産業医が主導し、社員の健康相談に関する試行実験が開始されている。さらに、産業医科大学 産業生態学研究所の大神明教授との共同研究により、企業ヘルシー度指標を定義し解析を行う。将来的には産学連携など提携先を拡げ、働く人の疲労とストレスを解析し疾病予防に役立てる仕組みを実現する。

リコーは基盤技術である画像処理・センシング技術を融合した統合プラットフォームを確立することにより、医療ヘルスケア分野の中でも、予防サービス事業に注力する。さらに、会社定年後も受診できる生涯サービスとして定着させ、先々には在宅医療などに拡張して、大量データを利活用した健康予報の提供も模索していく。なお、社内実証実験はグループ会社を含めた国内約3万7000人の社員を対象に今年秋まで実施される予定。この結果を踏まえ、今後新規事業として外販を目指すとコメントしている。

システムの概要図