デル クラウド・クライアント・コンピューティング事業部 事業部長 松浦淳氏 |
デルは7月7日、シンクライアントOS「Dell Wyse ThinOS」搭載のモニタ一体型シンクライアント「Dell Wyse AIO 5212」を発表した。同製品は、同社が買収したワイズテクノロジーのシンクライアントとデルのモニタを一体化した製品となる。
クラウド・クライアント・コンピューティング事業部事業部長の松浦淳氏から、国内におけるWyse製品に関するビジネスについて説明が行われた。
同社は、クラウド・コンピューティングにおいて、エンドユーザー側のソリューションをカバーするビジネスを担う事業部として、「クラウド・クライアント・コンピューティング」を立ち上げ、Wyse関連のビジネスもこの傘下で行われる。
同氏は「Wyseクラウド・クライアント・コンピューティング事業では、単にシンクライアントを提供するわけではない。Wyseとデルの統合により可能になったサーバ、ストレージなど、エンド・ツー・エンドでシステム全体を提供する」と、ソリューション・ビジネスに注力していることをアピールした。
同社は、シンクライアント・システムに必要なデバイスをワンボックスに格納して、すべて統合された形で提供できるというわけだ。
同氏は、同社の強みとして「リファレンス・アーキテクチャ」と「独自技術」を挙げた。「デルは、これまでのビジネスからPCに強いというイメージが強い。しかし、実際は、さまざまなソリューションに関するリファレンス・アーキテクチャをWebで公開している」と同氏。
さらに同氏は、Wyse ThinOSの6MBという軽さのメリットを強調した。「OSが6MBだと、起動が早いだけでなく、管理が容易になる。 三菱東京UFJ銀行では、6万台のクライアントを数人で管理している。管理に手間がかからないと、コストも下げることができる」(松浦氏)
「Dell Wyse AIO 5212」は、 CPUとして「AMDデュアルコア1.4GHz」を搭載している。この点について、同氏は「現在のシンクライアントの課題への挑戦」と語る。
今のところ、シンクライアントでは、3Dグラフィックなどのハイパフォーマンスのアプリケーションの稼働が難しいと言われているが、AMDデュアルコア1.4GHzを搭載している同製品なら3Dの処理にも対応できるというわけだ。
同様に、電話会議に対応すべく、Webカメラとスピーカーを内蔵している。同氏によると、昨今、シンクライアントでもWeb会議を行いたいというニーズが高まっているとのことだ。
モニタ一体型という点で、ハードウェア外付け型よりもすでに省スペースだが、オプションの無線キーボードとマウスを選択すれば、さらに省スペースを実現できる。
モニタは外部出力を搭載しているため、デュアルモニタに対応しているほか、向きを縦に変えることも可能だ。
国内発売は8月下旬を予定している。価格はオープンだが、米国での定価は700ドル程度が考えられているという。