東京商工リサーチは7月7日、「中小企業賃上げアンケート」調査を実施し、その結果を発表した。
同調査は、中小企業基本法に基づく中小企業に当てはまる企業を対象に、5月28日から6月10日の間、インターネットで実施し、有効回答を得た3,319社の回答を集計したもの。
調査によると、賃上げを検討した中小企業数は2,563社(構成比77.2%)。賃上げを検討しなかった企業数は756社(同22.7%)にとどまった。一方、賃上げを実施した企業数は2,132社(同64.2%)となり、中小企業に対しても内外からの賃上げ圧力の強さがうかがえる結果となった。
賃上げを実施した中小企業(2,132社)では、「定昇&ベースアップ」が430社(構成比20.1%)で最多となり、これに「定昇のみ」419社(同19.6%)、「定昇&賞与・一時金」413社(同19.3%)が続く。「定昇&ベア&賞与・一時金」の"高待遇"企業も382社(同17.9%)あった。
賃上げを実施した企業のうち、1,644社(同77.1%)が「定昇」を中心にした賃上げで、「賞与・一時金」のみは69社(同3.2%)にとどまった。
賃上げを見送った企業1,187社の理由は、「先行きの見通し難」が643社(構成比54.1%)と半数を上回り最多となった。以下は、「その他」284社(同23.9%)、「原資が不足」260社(同21.9%)の順となる。
景気の先行きが不透明で賃上げに踏み切れなかった企業が、賃上げを見送った企業全体の5割以上を占め、同社は「まだ企業業績に力強さが欠けることがうかがえる」と指摘している。
賃上げを実施しない理由は? 資料:東京商工リサーチ |
従業員数別で賃上げを実施した企業の構成比は、50人以上100人未満が73.7%で最高で、次いで、100人以上72.7%、10人以上50人未満67.1%の順となっている。
5人未満の企業では35.0%にとどまり、従業員規模が大きいほど賃上げを実施しているようだ。これは規模に比例して業績改善が先行していると見られるが、同社は「人手不足で従業員をつなぎ留めるために賃上げに踏み切った事情もある」と分析している。
売上高別では、50億円以上100億円未満が75.1%で最高だった。これに、100億円以上が75.0%、10億円以上50億円未満が71.9%と続く。資本金別では、1億円以上が71.3%で最高。次いで5千万円以上1億円未満が69.2%、1千万円以上5千万円未満が65.7%の順となっている。
売上高が1億円未満、資本金が1百万円未満では、賃上げを実施した中小企業がいずれも4割を下回った。売上高、資本金とも金額が大きい企業ほど賃上げを実施している割合が高いことがわかった。