福井県立恐竜博物館と長崎市は7月7日、長崎市内の長崎半島西海岸に分布する三ツ瀬層(白亜紀後期:約8100万年前)から、長崎県では初産出となる鎧竜(草食恐竜)の化石を発見したと発表した。

2013年度の同層の調査で、約60点の脊椎動物の化石標本が採集され、現在もクリーニングならびに鑑定作業が行われているとのことで、これまでに恐竜として、鎧竜の歯の化石1点が発見されたほか、併せて獣脚類(肉食恐竜)の歯の化石も2点発見されたという。

鎧竜の歯は、最大幅9.8mm、歯根を含む高さは9mmで、国内における鎧竜の化石は、北海道夕張市で白亜紀後期の初め頃の歯11本を含む頭骨の一部と首の骨が、富山県で白亜紀前期の足跡が、兵庫県丹波市で白亜紀前期の歯1点が、そして熊本県で白亜紀後期前半の歯1点がそれぞれ知られているが、今回の発見は、それらに次ぐ国内5カ所目の発見となり、最も時代の若い鎧竜化石の記録となるという。

また、獣脚類の歯2点は小型種のものと見られ、そのうち1点(最大幅7.2mm、高さ14.3mm)は、その横断面形状や鋸歯の位置から、上顎の前方(前上顎骨)に稙立していた歯であると考えられるという(前上顎歯)。もう1点はより小さい歯の化石で(最大幅5.5mm、高さ6.7mm)、2013年7月に報道された、三ツ瀬層産の大型獣脚類化石の産出地とは異なる場所から発見されたことから、別個体の獣脚類のものであるとしている。

なお、これらの3点の恐竜の歯の実物化石と複製は、長崎市野母崎行政センターで7月8日~7月10日の期間、実物化石が展示されるほか、長崎市科学館で7月12日~8月2日の期間、実物化石を展示、8月3日~9月中旬(予定)で複製を展示、9月中旬(予定)より実物の常設展示が行われる予定。また、福井県立恐竜博物館でも7月8日~7月29日の期間で複製が展示されるほか、8月4日~9月中旬(予定)の期間で実物化石が展示され、9月中旬(予定)からは複製が常設展示される予定だという。

長崎市の三ツ瀬層から新たに発見された恐竜の歯の化石。左が鎧竜の歯、中央が獣脚類の歯(前上顎歯)、右が小型獣脚類の歯 (提供:長崎市教育委員会/福井県立恐竜博物館)