カルピスは7月4日、同社保有の乳酸菌「Lactobacillus gasseri CP2305株(L.gasseri CP2305株:プレミアガセリ菌)」による発酵乳を用いた清涼飲料水の摂取が、脳腸相関を通じて整腸効果をもたらすことを確認したと発表した。
同成果は、同社ならびに徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部ストレス制御医学分野の六反一仁 教授らによるもの。詳細は「日本睡眠学会第39回定期学術集会」にて発表された。
これまでの研究からプレミアガセリ菌は、ストレスを負荷した健常人への摂取試験などで、不安や精神面の改善のほか、腹痛を緩和する効果が報告されていた。今回の研究では、活用方法の拡大を目指し、プレミアガセリ菌の摂取による整腸作用のヒト試験による検証と、マウスのストレス性下痢に対する効果と菌体の果たす役割の検討が行われたという。
ヒト試験では、これまでの生菌発酵乳の効果ではなく、殺菌発酵乳の摂取によるリラックス効果、安眠効果ならびに整腸効果の検証が行われた結果、ストレス負荷時の健常人におけるリラックス効果、安眠効果が確認されたほか、腹部不快感の改善が確認されたという。
また、プレミアガセリ菌による発酵乳を用いて調製した清涼飲料水の継続摂取における、排便習慣にやや難のある人に対する整腸効果の検証では、便の色が明るくなり、すっきり感も自覚されるなど、改善が確認されたという。
さらに、ストレス応答系の主要因子であるストレスホルモンのCRFに注目し、ラットにおけるCRF誘発下痢モデルを構築。同モデルを用いて、プレミアガセリ菌の生菌体、殺菌体の有効性を評価したところ、大腸炎症を抑え、腸管内の水分を調整することが確認され、結果、下痢症状の有意な改善が確認されたという。
今回の結果について研究グループでは、脳腸相関によるストレス緩和作用によるものと考えられるとするほか、プレミアガセリ菌の発酵乳を用いた清涼飲料を継続的に摂取することで、ヒトでの整腸作用を確認したことから、殺菌体においても整腸効果を示す、乳酸菌の新たな整腸メカニズムが示唆されたとコメントしている。