Google DriveやOneDrive、Yahoo!ボックス、Dropboxなど各社からクラウドストレージが提供されている。その利便性もあって個人利用だけではなく、企業内での利用も増えており、会社の許可なく勝手にサービスを利用するシャドーITとしての問題も取りざたされる。
最近では、法人利用向けにセキュアな管理ツールを提供したり、アクセス権限を細かく設定できるようにしたりと、各社ともサービスを強化している。シャドーITとしての問題解決を図るだけでなく、単に保管容量や使い勝手だけではサービスとしての差別化が難しくなっていることもその背景にある。
米Box エンタープライズ担当 SVP 兼 ジェネラルマネージャ |
その中で、サービス開始当初からエンタープライズに特化してきたのがBoxとなる。米国で2005年に創業、日本法人の設立は2013年。この5月には共同創業者兼CEOのアーロン・レヴィ氏が来日し、日本市場での本格展開を発表した。Boxは、GEがグローバルで導入しているほか、日本においてもサンリオエンターテイメントやディー・エヌ・エー、三菱地所などが導入しており、現在では22万5000社・2500万ユーザーが利用しているという。
その導入の決め手としてエンタープライズレベルのセキュリティが挙げられるbox。同社のサービスについて米Box エンタープライズ担当 SVP 兼 ジェネラルマネージャのホイットニー・ブック氏が都内でメディア向けの説明会を行った。
ブック氏はまず同社のサービスを「(企業に関わる)人々をつなぐことによって生産性の向上を提供する。セキュアな環境で提供するBoxは、社内外のコラボレーションや協業を支援し、重要な価値をビジネスに活かすことで意志決定のサポートを行う」と説明する。
さらに、「Boxのサービスは、(競合他社に比べて)エンタープライズ向けに提供してきた長い歴史がある。このようなエンタープライズレベルの機能は今後も強化していく。暗号化に使用する暗号鍵を企業側で管理できるマネージドエンクリプションといった機能も提供する予定」と述べ、このようなエンタープライズレベルでのセキュアなサービスを実現していることが「Boxが選ばれる大きな理由」と語った。また、ここ数年のモバイルデバイスやクラウドサービスの普及もBoxを選ぶ背景にあるとする。
「モバイルデバイス活用シーンの増大によって、単にメールを見るだけではなく、作業を行いたい、意志決定を行いたい、社外との協業を進めたいといった流れが出てきており、それには今までとは違う角度でテクノロジーを選ぶ必要がある。グローバル企業のように地理的にはなれている場合や、あるいは社内外の多岐にわたる関係者とのやりとりのようにつながって仕事をする時代。今、求められるのはいかに情報を共有するか」とブック氏。
そのようなソリューションが求められている中で、ありがちなのが、企業のIT部門が推奨するものは利用者にとって使いにくい(あるいは逆に利用者が使いやすいものはセキュリティに懸念がある)ということ。
Boxは、データのやりとりをロギングや監査、管理者によるデバイス管理、権限設定などエンタープライズレベルでのセキュアな要件を満たしつつ、利用者にとってはマルチデバイス対応や相手がファイルを読んだかどうかわかる機能、タスク設定など利用しやすい環境を提供しており、それがGEをはじめとしたグローバルでの採用実績につながっていると説明する。
オンラインストレージはツールであって、利用することが目的ではない。ツールを利用することで、ワークスタイルを変革し、ビジネスにおける生産性を向上させることがゴールとなる。単にストレージ容量や価格、あるいはIT部門が要求するセキュアな環境といった視点だけではなく、導入によって得られる生産性向上にもしっかりと目を向ける必要があるだろう。