掃除ロボット「ルンバ」の日本国内総代理店として知られるセールス・オンデマンドは7月1日、そのルンバに続く米iRobot製掃除ロボットの第2弾として、自動床拭き掃除用の日本仕様オリジナルモデル「ブラーバ380j」(画像1)のオンライン販売を7月4日から開始することを発表する説明会を開催した。今回はその模様をお伝えしたい。
ブラーバ380jはウェットとドライの2モードを備えており、ワンタッチ(画像2)で水拭きとから拭きをフローリング、タイル、クッションフロアなどの堅い床に対して行ってくれる掃除ロボットだ。複雑な設定などは一切必要のない掃除ロボットである。iRobotに買収されたエボリューションロボティクスがかつて開発して販売していた「ミント」をベースにしたもので、2013年8月にiRobotが本国の米国で販売を開始し、現在は30カ国で販売中だ。
ブラーバ380jは日本仕様となっており、性能的な違いがあるわけではないが、ボディカラーが日本人好みの、ロボット掃除機らしく清潔感と結びつくホワイトとなっている(通常仕様はブラックだという)。そのほか、取扱説明書が日本語で、電源の仕様も日本仕様になっている。
2つあるモードを紹介すると、まずウェットモードだが、こちらは皮脂汚れや食べこぼしのあとを拭き取れるモードだ。ウェットクリーニングパッド(画像2)に注水して使用し、パッドに装着する床拭き用のウェット用のマイクロファイバークロス(画像3)が自動的に一定のペースで湿り気を帯びる仕組みになっており、最大約20畳の広さを水拭きすることが可能だ。人がモップがけをするように前後に小刻みに動きながら左右にYの字を描くように旋回して移動するイメージだ(動画1)。
また、部屋そのものは堅い床であっても、カーペットなどが敷いてあることは普通で、その上に乗り上げて水拭きされてしまうと困るのはいうまでもない。それに対しては、高さ3mm以上の段差を検知して回避する仕組みで、ラグやホットカーペットなどまで水拭きしてしまう心配はないようになっている(動画2)。
一方のドライモードは、クリーニングパッドにドライクロスを装着して使用し、障害物の場所でターンを繰り返す形で、平行移動しながら室内を清掃する(画像5)。最大56畳の広さをから拭きすることが可能だ。なお、ドライクロスとして、市販の使い捨て掃除シートを利用することも可能になっており、付属のクロスは洗っての再利用が可能だが、それが面倒だという人にも配慮された設計になっている。
そのほか、通常モードより約30%早く清掃するクイックモードもある。こちらは、基本的には通常モードと同じ面積をカバーしているが、家具や一部の壁の周辺などの掃除を簡易化することで時間を節約する仕組みだ。
そして、ブラーバがより正確な自己位置情報を把握するために開発されたのが、「NorthStarナビゲーションシステム」である。これは、付属の「NorthStar(ノーススター)キューブ」(画像6・7)を部屋の中心のテーブルや棚などの高い位置に置くことで機能させる仕組みだ。キューブが2点の赤外線ポイントを天井に照射し、そのポイントをブラーバ本体が受信することで、GPSを受信するかのように正確な位置情報の把握が可能になるというわけだ。また、キューブをさらにもう1個追加購入すると、最大で約112畳までの清掃を行えるようになる。
画像6(左):NorthStarキューブ。画像7(右):テーブルなどの上に置いたNorthStarキューブが照射した赤外線による2カ所のポイントを、ブラーバ本体が受信することで屋内の正確な自己位置を把握する仕組みだ |
同時にブラーバ自身にも各種センサが搭載されており、赤外線ポイントとの組み合わせにより、その働きで部屋の形状や家具の配置などを把握してマッピングを行う。つまり、部屋のあらゆるものを極力かたづけてブラーバが動きやすいようにしないと使えないのでは? などという心配は無用なわけだ。なお、部屋のマッピングはその掃除の時のみで、メモリなどに保存されるわけではない。ちなみにスタート時はブラーバの右側から清掃を開始し、次に左側を清掃したのちにスタート位置へ戻って終了となる。そのほか、センサの中には段差の落下防止用のものも搭載されている(動画3)。
また、ブラーバは幅244mm×奥行き216mm×高さ79mmとコンパクト設計で(重量も約1.8kg)、幅30cm以上、高さ8cm以上ある空間なら入り込むことが可能だ。よって、ベッド下などの人が掃除するには面倒な場所も入って行って、拭き掃除を任せられるのである。ちなみに、各モードの部屋の広さは前述した通りだが、稼働時間でいうとウェットモードが約2.5時間、ドライモードが4時間だ。ルンバのように自動充電機能は用意されておらず、ユーザーが自分でセットする形で、通常は約4時間。付属の急速充電スタンドを使用すると約2時間で行える(画像8・9)。
それから、吸引・排気といった仕組みを持たないので動作音は、図書館内と同じレベルの静かさに抑えられており、時間を気にせず利用できる。同時に、ホコリを巻き上げることもないというメリットも持つ。そのほか、バンパーが備えられているので、家具や壁などに接触しても傷つけない仕組みだ(動画4)。電気代は1時間当たり0.5円となっている。
なお、畳の部屋では利用できないので、ブラーバは欧米向きではあるが、日本向きではないのではないかと思われるかも知れない。ところが、近年の日本の新築住居における7割がフローリングで、例えば1戸建てを見てもすべて和室などというのは注文住宅以外はありえず、ましてマンションとなると、和室そのものがない物件も珍しくない。
しかも、日本人はきれい好きで、家の中では靴を脱いで歩くので、さらにフローリングなどの堅い床はきれいにしたい意向が強いという。床の水拭きをしている家庭ではその6割が週1ペースで行うが、やはり面倒なことには変わりなく、行ったあとの効果が高いからしているということで、水拭きを全自動化できれば、喜ぶ人も多いという。また、近年、子供のぜん息が増加中で、床の水拭きが推奨されており、乳幼児のいる家では面倒な水拭きを自動化できるので大きなメリットがあるというわけだ。
販売は7月4日からとなり、当初はユーザーとのコミュニケーションが直接できるということで、オンラインストアの「アイロボットストア」で行われる。将来的にはルンバのように家電量販店などにも展開していく計画だ。価格はルンバよりも低価格で、3万3000円(税別)となっている。
ちなみにルンバとブラーバ、どちらか1台あれば十分なのかというと、やはりまずルンバで吸い取れるホコリやゴミを吸い取って、その上でブラーバに水拭きさせるという、2機種による連係プレーが望ましいという。ブラーバの水拭きだけではホコリが積もっている場合はぬぐいきれないどころか、逆にほかの場所にホコリをこすりつけてしまう可能性もあるからだ。筆者のイメージとしては、ルンバがまずあった方がよく、さらに清潔さを求めるのならブラーバも併用した方が望ましい、という具合。もちろん、ルンバはなしで、自分で掃除機をかけて、でもさすがに水拭きまでは面倒だから、あとはブラーバ、という使い方も問題はない。
セールス・オンデマンドの室崎肇代表取締役社長(画像10)は会見で、ルンバも10年前は未知の分野だったが(成功したわけで)、今回も新しいカテゴリだが、このように日本でも水拭きロボットの需要は大いに望めることからブラーバは必要とされるだろうとコメント。iRobotと共に腰を据えて取り組み、着実に進歩させて畳敷きにも対応させてルンバを日本市場に定着させた室崎氏ならではの、ブラーバも何年後かには掃除ロボットの定番商品とさせるという自信を感じさせる発言だった。
なお、スペックは以下の通り。
- 本体サイズ(mm):幅244×奥行き216×高さ79
- 重量(kg):約1.8
- 電源:AC100V 50/60Hz
- バッテリサイズ:約2000mAh(ニッケル水素電池)
- 最大稼働時間:ドライモードで約4時間、ウェットモードで約2.5時間
- 充電時間:約4時間、付属の急速充電スタンドの使用で約2時間