米HPは7月2日と3日の2日間、インドのムンバイにあるホテルにて、アジア・パシフィック地域のプレス向けイベント「HP APJ Media Summit 2014」を開催。この中で同社は、New Style of ITを活用した新たな展開として、熱帯雨林での自然保護活動「HP Earth Insights」と、インドでの遠隔医療への取り組み「eHealth Center」を発表した。

HP Earth Insights

HP Earth Insightsは、HPのビッグデータソリューションを活用し、世界の熱帯林に生息する絶滅危惧種約60種類について、早期に警告を発するプログラム。

HP Earth Insightsは、世界の熱帯林に生息する絶滅危惧種の保護に向けた活動

この取り組みでは、地球環境の健全化と生産力維持に取り組む非政府機関(NGO)、コンサベーション・インターナショナル(CI)が行う研究活動に対して、HPの技術と専門ノウハウを提供している。

具体的には、HPは気候センサーや定点カメラから生物の種や植物の生育、降雨量、気温、炭素貯蔵量、湿度、太陽からの放射などに関する情報の収集、管理ならびに分析を行っている。2014年2月現在、このプロジェクトでは、3テラバイトの貴重な生物多様性の情報、160万枚を超える写真、400万件を超える気候測定データを管理しているという。

樹木に取り付けられた定点カメラ

そして、これらを利用し、16カ所の研究拠点で275を超える生物の種を対象に、生物のトレンドや気候、人間の活動ならびに土地利用が及ぼす影響を30時間以内にレポートにまとめることが可能だという。

eHealth Center

eHealth Centerは、HPの技術を利用したヘルスケア・サービス。eHealth Centerの施設は、輸送用コンテナを使用した収納と、既存のクリニックに追加するいずれの形にも対応できるよう設計されており、空輸や自動車、鉄道による輸送が可能。このセンターは、医師やクリニックの設備、インターネットアクセス、さらには電気などが不足しているコミュニティを対象としている。

現在はインドの6カ所で実施され、eHealth Centerには、主要な診断機器とHPのワークステーションを完備し、またオープンな電子カルテ(EMR)システムとHPのクラウド技術も備えている。

現場のスタッフは、このシステムを通じて、診断検査の結果を地球の反対側にいる医師に送付して遠隔診断を行ったり、実装されたビデオ会議システムを使って現地から離れた場所にいる専門家にリアルタイムで意見を仰ぐことが可能になる。これにより、医療サービスをこれまで十分なケアが受けられなかった人々にも提供する。

eHealth Center

インドでは、医師や病院から離れて暮らすインドの農村部に導入。インドの農村部の住民のうち、90%近くの人々が、必要最低限の治療を受けるために8キロメートル以上を徒歩で移動しなければならない状態にあるという。

また、HPのクラウドソリューションにより、データの蓄積と分析をサポートし、医療体験のパーソナライズ化の推進や、コミュニティ全体の健康状態のモニタリングと管理を行う。

インドでの取り組みはパイロット的に行っているものだが、1カ所あたりの平均受診者数が1日25名に達しているという。そこで、HPでは、eHealth Centerの本格運用を決定し、2014年のうちにインド国内でのeHealth Centerの増設を計画し、さらに9月には、インド以外の国で開始し、グローバル展開する。