東芝とイビデンは7月3日、耐熱性と耐酸化性に優れた炭化ケイ素(SiC)を素材とする原子力発電プラント向け炉心材料の製造技術を確立し、燃料集合体カバー材の試作に成功したと発表した。
同成果は、原子燃料工業、東京大学先端科学技術センターの香川豊教授、東北大学金属材料研究所の後藤孝教授と連携して進められているもので、成果の詳細は7月7日からチェコ共和国開催される「22th International Conference on Nuclear Engineering(ICONE22)」にて発表される。
今回、燃料集合体カバー材に適用されたのは、SiC長繊維で構成することで強度を向上させた複合材で、製膜工程にCVDを用い、製膜装置と製膜プロセスを最適化することで、燃料集合体カバー材の量産化に必要とされる、従来比20倍の製膜速度を実現したという。
また、特殊炭素素材に機械加工を施した型を用いることで、SiC長繊維を燃料集合体カバー材の形状に成形するとともに、CVD装置を長尺化することで、4m超の燃料集合体カバー材を密度と強度を保ちながら高い精度で製造することを実現。同技術は、薄肉長尺円筒などの特殊な形状にも適用でき、燃料被覆管にも応用可能だという。
なお両社は、2016年度以降に研究炉で試験を行い、データ収集、検証を経て、2025年以降に既設プラントの交換部品として実用化を目指すとしている。