STMicroelectronicsは7月2日、HDR(High Dynamic Range)オーディオ信号合成技術を搭載したオーディオプロセッサ「STA311B」を発表した。
オーディオプロセッサは、アクティブスピーカやドッキングステーション、デジタルメディアプレーヤなどのホームエンターテインメントシステムにおける重要なコンポーネントである。一方、HDR信号合成は、高価な高性能A/Dコンバータ(ADC)を使用せずに、130dBを超えるダイナミックレンジのデジタル信号の生成を可能にする。
同製品は、独自技術により、ささやき声のような低音からジェット機のエンジン音のような高音までを同レベルでクリアに処理し、卓越した音質を実現。エントリレベルからハイエンドまでのさまざまなホームエンターテインメントシステムに最適となっている。具体的には、チャネル当たり最大10個のユーザ設定可能な独立バイカッドフィルタを備えるオーディオ処理チャネル8個、入出力ミキシング機能、マルチバンドダイナミックレンジコンプレッション、高度なポップノイズ除去処理、入力サンプリング周波数の自動検出、入出力(前・後処理)RMS(二乗平均平方根)測定、独自のFFX Pulse Width Modulation技術、HDR合成入力が、1チップに搭載されている。
このうち、入出力RMS測定機能は、ハードウェアコストを増加させることなく最終製品の安全性を向上させる。また、従来は高ピーク出力を維持できるオーバースペックで高価なスピーカを使用する必要があったが、「STA311B」により、スピーカを損傷させる可能性のある電力サージをアプリケーション側で抑制することができる。さらに、ポップノイズ除去回路がシームレスな起動を可能にするため、シングルエンド構成とブリッジ接続構成の両方で、ノイズが解消される。これらにより、さまざまな価格・性能設定に応じて調整された同一設計に基づく複数製品を開発することで、コスト低減が可能になる。
なお、パッケージは、8mm×8mm×0.9mmサイズのVFQFPN。現在量産中で、サンプル価格は1000個購入時で約3ドル。