ZMPは7月2日、Intel製CPUを搭載した自動運転用コントローラボックス「IZAC(Intel ZMP Autonomous Controller)」を開発したと発表した。9月よりテスト販売を開始する。

同社は、トヨタプリウスをベースにしたロボットカー「RoboCar HV/PHV」を自動運転車の開発プラットフォームとして販売している。自動運転車では、さまざまな周辺環境センサやカメラの映像などの膨大な情報から、リアルタイムで自車位置推定やマッピング、障害物やレーン検知などを行ったうえで経路生成とトラッキングなどの判断を瞬時に行い、車両のステアリングやアクセル・ブレーキの制御を行う複雑な計算処理が必要になる。「RoboCar」では、これまで車両に制御信号を送るコントローラボックスに外付けのパソコンを接続して、ユーザーがさまざまなソフトウェアを自らパソコン上で準備したうえで開発に使用してきた。

今回発表した「IZAC」の試作機は、「インテル Core i7プロセッサー」をメインCPUとして搭載し、高速な演算をボックス内でリアルタイムに行うことが可能。また、ZMPがこれまでの自動運転開発を通して培ってきたさまざまなソフトウェアがコンポーネントとして順次提供され、ユーザーが開発するアルゴリズムやセンサと組み合わせて自動運転の実験に使用することができる。さらに、CおよびC++言語を使用した開発だけでなく、自動運転技術のような制御系の研究開発に標準的に使用されるMATLAB/Simulinkからのコード生成にも対応している。このほか、タスク監視、モニタリング、ログ取得など、ユーザーが開発に使いやすいような仕組みを備えている。なお、ソフトウェアでの提供が予定されているコンポーネントの例としては、LIDARを使用した障害物検知、点群処理ユーティリティ、自己位置推定、およびカメラ映像を使用した白線検知ではパターン検知、経路生成、トラッキングなどのアルゴリズムが含まれている。

同社では、引き続き開発を進め、9月末を目標に試作機を「RoboCar」をすでに導入しているユーザーを中心にテストマーケティングとして販売し、フィードバックを得たのちに、2015年夏の正式発売を目指すという。近い将来には、2DINサイズに収まる形状で、カーナビのように地図上でタッチパネルを使って目的地を設定したうえで、自動運転を開始するようなユーザーインタフェースを目指していくと説明している。

「IZAC」による自動運転システムの構成例

環境センサやカメラ映像からの検出に使用した例