ソーシャルアイドルnotall(ノタル)のデビューライブが6月29日、代々木公園野外ステージで行われた。notallはワロップ放送局がプロデュースする4人組のアイドル。グループ名やロゴデザイン、楽曲を一般公募して決めており、「世界のみんなで育ているソーシャルアイドル」を標榜している。

notallデビューライブの様子

デビューライブの会場は「ワールドグルメ&ミュージックフェスタ2014」の野外ステージ。登場したnotallは、6月26日にリリースしたデビューソング「恋のスマソークラ」を披露した。ライブ直前のゲリラ豪雨で開始が遅れたものの、ステージ周辺には多数のファンが集結。メンバーが自己紹介する場面では、ファンはペンライトを振りながらメンバーのニックネームを連呼していた。

ライブに参加する多くのファンの様子

デビューライブにもかかわらず、こうした多くのファンがつくのはデビューまでの施策に秘密がある。ソーシャルアイドルを標榜しているように、ワロップ放送局は、グループ名やニックネーム、言ってほしいセリフなどを公募。「世界中のみんなと一緒に育てる、次世代型のアイドルグループ」として展開している。

たとえば、グループ名は、Facebookページに応募した「ほしの」さんのアイデアを採用したもの。英語の「not all = 全てではない」の造語で、「メンバーには限界を見つけないで、有名になっても満足せず、いつまでも前を向いて上を目指して頑張って欲しい」という想いが込められているという。

また、メンバー4人のニックネームもそれぞれ、公募によって決定した。片瀬成美さんは「ぺい」さんが応募した「なーちゃん」で、渡辺ちこさんは「たかろー」さんが応募した「べちこ」、田崎礼奈さんは「ほしの」さんが応募した「たさきょん」、佐藤遥さんは「こよ」さんが応募した「さとはる」となっている。

オーディションでメンバーが決まったのは6月初旬。6月18日までにグループ名やニックネームを公募し、26日までにシングルデビューを行うというスケジュールで、スタッフやファンが連結しプロデュースしてきた。その結果が、デビューライブでニックネームを呼ぶ一体感につながっているわけだ。

ソーシャルだけあって、スマートフォンの活用にも積極的である。たとえば、デビューシングルのPVは、スマートフォンで撮影し、タブレットで編集作業を行ったもの。PVを制作した博報堂アイ・スタジオによると、撮影/編集でスマートデバイスの使用にこだわったのは、「新しいデジタルコミュニケーション手段が登場してきた日常の中で、一人の女の子が抱くアナログな恋愛感情」というデビューソングのテーマに合わせたものだと説明。スマソークラというのも、「スマートフォン・ソーシャルメディア・クラウド」を組み合わせた造語だ。

ライブ会場では、スマートフォンの機能を活用した企画も実施。アイドルの等身大パネルを設置して、来場者が同パネルからムービーをダウンロードできるようにした。スマートフォンでパネルに記載されたQRコードを読み取り、専用アプリをダウンロード後、アプリを立ち上げてパネルにタッチすると、iPhoneではiBeacon、AndroidではNFCを使って、それぞれムービーをダウンロードする仕組みとなっている。ステージが終わると、説明員の話を聞きながらムービーをダウンロードする来場者の姿が多数見られた。

設置されたパネル

ファンがQRコードを読み取って動画をダウンロードする様子

また、ステージ後に開催された握手会では、メンバーがそれぞれの腕にQRコードタグを張り付け、ムービーのダウンロードなどができる仕様で登場。集まったファンに話を聞くと、「最初はFacebookの名前公募の企画で知った。同じFacebookページでイベントの告知をしていたので参加を決めた」という声のほか、「YouTubeのPVを見て知った」という意見など、ソーシャル活用が効いている様子であった。アイドルのプロモーション施策についても「親近感が出るし面白いと思う」と好評であったようだ。

当日のデビューイベントの模様はFacebookの投稿やTwitterでのつぶやきが広がっており、YouTubeにもビデオがアップロードされている。