産業技術総合研究所(産総研)は6月26日、超平滑表面を持つ犠牲層薄膜上にめっきでパターンを形成した後、犠牲層薄膜を除去して、超平滑めっき表面を形成する技術を開発したと発表した。これをデバイスパッケージングのための接合技術に適用し、常温の大気中で金属同士の高強度接合を実現したという。

同成果は、同所 集積マイクロシステム研究センター 大規模インテグレーション研究チームの倉島優一研究員、高木秀樹研究チーム長らによるもの。詳細は、「Microelectronic Engineering」のオンライン版に掲載された。

MEMSのパッケージングには、厚膜金属めっきにより形成された封止枠やバンプ電極による、金属同士の接合が用いられている。しかし、厚膜めっき表面は表面粗さが大きいため、接合においては300℃以上の高温でプレスして金属を変形させることにより、接合面での密着を得る必要があった。一方、MEMSにはさまざまな材料でできた微細で繊細な機械可動部があるため、加熱加圧によるデバイスへのダメージが懸念され、低加圧・低温でのパッケージングが求められている。今回、犠牲層薄膜除去プロセスにより、原子レベルで平滑な表面の形状を金属めっき表面に転写することで、超平滑めっき表面を実現させた。この超平滑めっき表面を活性化処理することにより、常温の大気中で強固な接合を形成する技術を開発した。従来の接合プロセスでは真空環境や加熱機構を備えた大規模な接合装置が必要だったが、今回開発した接合技術は、常温の大気中で接合できるため、装置の大幅な簡略化と製造効率の向上が期待できると説明している。

従来の接合方法と今回開発した接合方法